k-takahashi's blog

個人雑記用

SFマガジン 2009年3月号

S-Fマガジン 2009年 03月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2009年 03月号 [雑誌]

 英米SF賞受賞作特集。好みはともかくできは良いわけですが、やはり目玉はイーガン。「暗黒整数」は「ルミナス」の続編にあたる短編。ルミナスの続編なのだから、この結末は予想してしかるべきだったが、そんなことを考える前に展開するイメージを楽しんでました。前作と比較すると、数学SFの面はやや影を潜め、ファーストコンタクトSFの比重が高まったかな。
しかし、「暗黒」整数とはなかなか巧妙なネーミング。ルミナスの対であると同時に、数学的仕掛けも暗示するわけだし。


 もう一つの特集がマイクル・クライトンの追悼特集。ハヤカワにとって重要な作家だったということもあるけれど、それ以上に、3編の追悼エッセイ(酒井昭伸瀬名秀明巽孝之)がいずれも興味深い。
最新テクノロジーを分かりやすく取り入れたベストセラー作家、と済ませてしまうのは間違っていると三氏三様の言い方で語っている。
「NEXT」で描かれた遺伝子研究、「恐怖の存在」で描かれた地球温暖化研究。両作品をうわべだけで捉えてはダメなわけです。そして、こういうのを書いてしまうところが、単なるベストセラー作家で済ませられないことの現れでもある、と。