k-takahashi's blog

個人雑記用

戦国合戦入門

 学研の歴史群像アーカイブの6巻は、戦国もの。但し、個々の合戦がどうだったかという話ではなく、鑓や鉄砲についての分析や兵科比率の変化、築城法などといった内容。

 冒頭のカラーページは、戦国時代に使われていたであろう一対一の戦闘術の分析(「戦国実戦格闘術」帯刀智)。太刀の反りを活かした刀裁きや、甲冑を掴んでの投げ技なども紹介されている。
同じくカラーページにある「当世、川中島合戦記」(用宗左近)は、石和で毎年行われているイベントの紹介。当時のものに近い武具を纏って、合戦に近い状況で動き回った体験を通して、「足袋だけでは疲労が激しく、草履が必要」「馬印が無いと、すぐに隊を見失ってしまう」「乱戦では甲冑の色で敵味方を識別するのは困難」、などと語っている。


 資料としてありがたいのは「詳解、戦国八陣」(福田誠)。魚鱗、鶴翼、などの八陣をイラスト入りで紹介している。


 歴史考察としては、雑兵は戦国大名が動員した農民ではなく農村からあぶれた過剰人口だったとか(「雑兵」中西豪)、馬(白兵戦要員)と鉄砲(射撃選要員)とのどちらに指揮官がいるかで、東国型/西国型と区別でき、それが射撃戦・白兵戦のどちらに強いかに繋がったかとか(「戦国鉄砲隊、前へ」河合秀郎)、という話が面白い。


 鉄砲関係で興味深い記述が、河合氏の記事の中にあった。
 長篠戦では、鉄砲の集中配備(織田)が分散配備(武田)に勝利した。しかし、これは鉄砲の装備率があまり高くなかったから。
翌年の石山総攻撃では、集中配備(原田直政)が分散配備(雑賀衆)に破れている。兵力は同等だったが、分散してなお織田側を上回る鉄砲数をほこっていた雑賀衆にかなわなかったのだ。
更に数日後、救援に来た信長は、総兵力で劣っていたにもかかわらず、鉄砲の超集中配備により雑賀衆を化力で圧倒し粉砕する。
なんというか、兵力の集中は大事だな、と再認識。