k-takahashi's blog

個人雑記用

フィギュアの採点問題

 色々話題になっているのは知っているが。問題は大きく2つに分けられる。採点システムの適切性の問題と採点作業の適切性(不正)の問題である。ある技を実施した場合の得点をどのように付けるかの問題が前者、買収や依怙贔屓の問題が後者である。 4回転ジャンプに何点付けるかというのが前者、芸術点とか減点とかの判定の正当性が後者になる。
 で、前者は私はよく知らないので、ここでは後者の話。


 フィギュアスケートの場合、8年前のソルトレークのオリンピックで大もめを起こし、採点システムが変更になった。問題は、その変更が適切だったかである。

どの審判員がどの得点を付けたかは公表されず、さらに審判員のうちの一部の採点のみが使われる(バンクーバーでは各演技で9人の審判員が採点し、そのうち7人の得点を採用。どの審査員の得点が採用されたかは明らかにされない)。

フィギュアの採点改革に効果なし | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

これだけ見ると、A国とB国が結託して、自分たちに高得点を付けるという裏取引が確かにやりにくくなるように見える。裏切りが検証できないからである。A国がB国を裏切ってB国の選手に高い点を付けなければA国の選手はさらに有利になり、そしてその裏切りがばれないからである。


 ところが、これではA国がA国の選手に不当に高い点を付ける行為を防止できない。同じ理由で、不当行為が発覚しないからである。
そして、調査によればそれは実際に起きており、悪化しているのだそうだ。

審判団の中に選手の出身国の審判員が含まれる場合、その国の選手の平均得点が高くなるかどうかを分析した。
 その結果、自国びいきの傾向は悪化していた。匿名採点では裏取引の確実な効果は望めないが、得点の付け方をマスコミやファンに追求されることもない。公開採点の時代に比べ、審判員による自国選手のひいき得点は20%上昇していたという(このうちどの程度が選手の出身国の審判員による得点で、どの程度が裏取引した他国の審判員から与えられた得点なのかは特定できない)。

フィギュアの採点改革に効果なし | ワールド | 最新記事 | ニューズウィーク日本版 オフィシャルサイト

誰がどこで不正をしたのかは特定できなくても、統計処理をすれば不正が起こっていた可能性はきちんと検出できるというわけだ。今なら、採点者と競技者と順位との関連とかも簡単に計算できるだろう。もっとも疫学がなかなか理解してもらえないのと同じ理由で、これを持って不正の証拠と認めてもらうのもむずかしいかもしれない。


 もともと主観の入る評価の正当性確保は難しいが、どうやらスケート連盟の策は成功とは言えなかったようだ。記事には書かれていないが、ライバル選手の点を意図的に低く付けるという不正もありうる。
さて、バンクーバーの分析はどうなるのだろうか。


 もっとも、芸術云々な競技はそもそもオリンピックにそぐわないのかもしれない。