- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/02/25
- メディア: 雑誌
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国内2位の長谷敏司は「allo,toi,toi」、3位の津原泰水は「テルミン嬢」。どちらも「脳の中に……」という設定で、何かが「見える」というような設定。(というと同じ設定に見えるかもしれませんが、全然違います。念のため)
長谷氏の方は、本筋とは微妙にずれますが、「好き嫌いの分析」の部分(「社会が子供に付加したよいイメージに依存している。この時代に、君たちが子供に性欲を向ける理由は、肉体的に満たされる予感ではなく、社会が与えた「好き」への誤解だということだ」)とペドフィリアの価値観の描写が面白かった。
海外1位はチャイナ・ミエヴィルの「ジェイクをさがして」。ロンドンとかの不気味な描写は相変わらず面白いけれど、SFというよりはホラー色が強い。
海外2位はチャールズ・ストロスの「ミサイル・ギャップ」。冷戦真っ直中に謎世界に強制移住させられた人類。諸般の事情で核ミサイルが効力を失い、宇宙開発もできなくなった世界。オープニングは米国の影響力が減少したヨーロッパがソ連に侵蝕されているシーンと英国で暗躍するスパイの描写。そこから話がだんだん広がっていく。ある種の陰謀論モノでもあるでもある歴史改変SF。
シロアリの社会性、冷戦、メガストラクチャーでの多世界、そしてもう一段、というスケールシフト感覚が楽しい。