k-takahashi's blog

個人雑記用

コマンド95号

コマンドマガジン Vol.95(ゲーム付)『JUNE / AUGUST '44』

コマンドマガジン Vol.95(ゲーム付)『JUNE / AUGUST '44』

 付録ゲームはダニー・ホルトの『June August '44 The Struggle for Normandy』。特集も「ダニー・ホルトとノルマンディ」。春に発売された「ウォーゲームハンドブック2010」付属の『Destination:Normandy』も氏によるもの。超メジャーテーマでありながら、三軍作戦である上陸というシーンがあるため難しくなりがちなテーマ。しかも、ホルト氏は「野心的であり粗いが魅力的」なゲームを作る人ということらしい。
 作戦研究と冒頭リプレイ記事が載っており、リプレイの方はコブラ作戦のシナリオを3回プレイしている。個人的にはこのスタイルの記事は好きです。


 大木毅氏の戦史記事が2本。「自壊した戦略:ドイツの西方防衛作戦」、「収容所の中の敗戦」。
「自壊」は、ドイツ軍の当時の実情を分析したもの。例の装甲部隊の配置を宙ぶらりんにしてしまった話なのだが、

老元帥のいう「内陸部」とは、従来いわれているよりも、はるかに海岸に近いものだったのだ。ドイツ側の一次資料をみていくと、ルントシュテットは、連合軍が築くであろう橋頭堡周辺での決戦を企図していたことが分かる。後述するロンメルの作戦案との相違は、上陸の初期段階で手持ち兵力だけで攻撃するか、充分な装甲予備を集めたうえで反撃に出るかという点にあるのだ。(p.40)

など、従来の紋切り型の見方に疑義を呈している部分もある。結論部では、指揮系統が宙ぶらりんになった要因をOKWにも求めている。OKWが「自分たちで使える戦略予備」にしようとしたというのだ。これでは「自壊」と言われても無理はない。
「収容所」は、収容所内の会話の盗聴記録に、ロンメルヒトラー暗殺への関与を示唆するものがあったものが残っているとしている。研究のネタは尽きないんだな。


 銀パパのコラムには、SSシリーズについてこんなことが。

最初の2作は、ゲームシステムとしてはそれまでにないものを採用していましたが、その副作用もありました。そのため、第3作以降のデザイナーには「SSはシステムの実験の場である」という捉え方をする人が多く、簡単・短時間の枠はいつのまにか重視されなくなってしまったのです。
 いつぞや「SSシリーズの功罪を語る」という座談会がありましたが、「ウォーゲームを世に広めようというなら、1つのシステムで全作品を通すべきでなかったか」という意見がありました。確かにその方がよかったかもしれません。(p.60)