k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン 2011年11月号

Newton (ニュートン) 2011年 11月号 [雑誌]

Newton (ニュートン) 2011年 11月号 [雑誌]

特集はDNA。内容は基本的なものから始まり、最新情報を混ぜるいつものニュートンの特集パターン。
塩基配列の反復(Copy Number Variation:CNV)の部分が面白かった。同じ塩基配列が繰り返される現象のことで、例えば穀物を多く食べる民族と穀物をあまり食べない民族とを比べると、アミラーゼ遺伝子のコピー数が有意に異なるのだそうだ。一方、CNVはある種の病気と深い関係にあることが分かっているのだが、その病気の大半が「治療法の確立されていない難病」であるため、実用に向けて悩みとなっているのだそうだ。


先日(8月26日号)のサイエンス誌に掲載されたはやぶさ特集の掲載論文の概要紹介が載っていた(pp.14-15)。

  • 地球に降り注ぐ隕石は小惑星からのものと実証
  • イトカワのもとは直径20キロあった
  • その天体に他の小惑星が衝突し、ばらばらになった破片が再び集まったのが現在のイトカワ
  • イトカワはいずれ消滅する

最後の「いずれ消滅する」が興味深かった。太陽系創成当時の情報がそのまま残っている、と思っていたのだが、100万年毎に数十センチずつ表層の物質が吹き飛ばされているのだそうだ。


液状化現象の解説と対策の記事も面白かった。浦安市にありながら被害のなかったディズニーランド園内は、SCP工法という方法が採用されていたのだそうだ。パイプをさして開けた穴に、砂や砕いた岩を入れて押し固めて「砂の杭」を作る方法。見事効果を実証したことになる。


アーベル2744の写真(pp.94-95)も興味深い。
http://imgsrc.hubblesite.org/hu/db/images/hs-2011-17-a-web.jpg
(上記写真は、ここより。雑誌に掲載されているのも同じ写真。)
ISOのVLT、日本のすばる、NASAハッブルとチャンドラの画像を合成したもので、青い部分がダークマター、ピンクの部分が銀河団ガス。明るい部分が銀河。
この写真のポイントは、ダークマターとガスと銀河の分布がずれていること。銀河団同士の衝突が原因とされているが、部分的にはガスがダークマターに先行している部分もあるという不思議な状態。
ダークマターの性質を研究するための資料になっているようだ。

来月号

こともあろうに、ニュートンの来月号の特殊が「光速 c」。なんてタイミングだろうか。
しかも、

  • 光速が宇宙の”最高速度”になるわけ
  • 高速は”ほんとうに”不変なのか? 最先端の物理学が相対論に修正をせまる!

とか、今頃記事の追加で大変だろうな。
(「修正をせまる」という表記がさすが科学雑誌である。)