星界の戦旗 V

星界の戦旗V: 宿命の調べ (ハヤカワ文庫JA)

終盤のスポール閣下の活躍に苦笑しつつ、一つ大きくガタンと世界を動かしたところまで。
著者が入院・治療していたというのは知らなかったけれど、ただ、それを差し引いてもちょっと間が空きすぎ。本書を読む限りでは、そもそも全体構想のレベルでかなり逡巡があったのだろうと推測される。

星界の紋章は、平面宇宙航法という超光速航法の存在する世界を描くことが主目的の作品でした。
さらに、星界の戦旗の第一巻ではその世界での戦闘のあり方を、第二巻と第三巻では帝国の領主のあり方、ひいては帝国の統治のあり方を『紋章』より詳しく述べてきたつもりです。そして第四巻とこの第五巻では、アーヴという種族が帝国をなぜ維持できるかについて描こうと思いました。(あとがき、より）

設定に関連するような記載も多かったような印象はある。

全体構想がきちんとまとまった結果として本書が出たのであれば、次はそれほど間を置かず出てくるのかもしれない。

要するに、超光速航法の存在する未来を書こうとして、帝国という舞台装置が描きたくなり、そしてアーヴという俳優に興味が向かったと言えます。
そして、第二部からはいよいよ、歴史と向かい合わねばなりません。(あとがき、より）