- 作者: 粟田房穂
- 出版社/メーカー: 東洋経済新報社
- 発売日: 2013/03/29
- メディア: Kindle版
- この商品を含むブログを見る
定番本ということもあり、内容については、引用といった形で目にしているものが多い。追加された部分も紋切り型の視点で書かれている部分が多く、そういった意味であまり新味はない。一度読んでおいてもいいけれど無理しなくても、くらいのでき。
たとえば、今年の30周年イベントについても、以下のようなありがたいお言葉を書かれている。
幸せ感が充満する空間で、ゲストもキャストもみんなで「ハッピー」「ハッピー」といいあうのだろう。そんな光景に「みなさんは幸福教ですか。教祖はミッキーさんですか」などと突っ込みたくなるが、無粋で余計なおせっかいと難じられるだけだろう。
ひたすら清潔で無菌状態の「夢と魔法の王国」には影という影がまるでないかのように見え、それゆえにいっそう日常生活から浮かび上がった非現実感が漂う。
そうだとすると、ディズニーリゾートでのつかの間の幸福感なんて、はかなすぎはしないか。すべからくこの世は光と影で成り立つべし。(No.2903)
四半世紀、ディズニーというビジネスを追っかけてきたのにこの程度の理解なんだなあ。
一応、興味深かったところを幾つかメモ代わりに。
東京は情報化や国際化の進展のなかで、ビジネスの中心として「働く人」を吸収してきた。東京=ビジネス機能=職場の拠点、地方=リゾート機能=遊びの拠点というかつての構図に対して、東京は遊びの拠点としても位置づけられている。週末には地方から、原宿や渋谷や秋葉原に遊びに来る。それと同じような感覚で、人々はTDLを訪れる。
(No.759)
渋谷や秋葉はTDRとどう違い、どう同じなんだろうか。
ディズニーランドで働いているキャストは楽しげで、ゲストもそれを見ていて楽しい。キャストは労働者であると同時に、演技者でもある。全ての職場が舞台であるから、ショーが仕事となる。仕事はその演技にかかっていると思わせることが、キャストのやる気を引き出す動機となる。
独特のディズニー用語がある。もっとも、この用語について労働専門家からの批判もある。労働者の様々な人間関係と人間活動である勤務実態を覆い隠す「隠喩」として、使用者側の論理に使われているという。
(No.624)
これは、出典はどこなんだろう?
199年に開園した「ユーロ・ディズニーランド」が、フランス人に当初そっぽを向かれ、予想通りの入園者を確保できなかったことである。
アイズナーによると、ヨーロッパ文化と”ディズニー文化”があわないというよりは、ヨーロッパには日本やアメリカに比べて中流層が薄いことが原因だという。
(No.2327)
マンガやアニメについても、欧州は階級社会的なところから受容が偏っているという意見を聞いたことがあるが、どのくらい確かめられた意見なんだろう?