Newton (ニュートン) 2014年 07月号 [雑誌]
- 出版社/メーカー: ニュートンプレス
- 発売日: 2014/05/26
- メディア: 雑誌
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科学解説を読む楽しみの一つは「へえ、そうなんだ」という感心。もう一つ「へえ、そういうことが分かってないんだ」というのもある。今回の特集は後者が面白かった。
ある程度固まっていたと思われていた惑星形成理論。これが、1995年に系外惑星が見つかり始めてから大幅な見直しが始まった。ホット・ジュピターやエクセントリック・プラネットなどをどう説明するかという話がきっかけで、これにコンピュータシミュレーションの発達が組み合わさる。
以下、本特集に書かれていた「分かっていない問題」から
- 惑星の材料となる塵。これが太陽系内ならどこでも組成が同じ。しかし、様々な恒星の破片が集まったはずのこの塵は組成がバラバラのはず。となるとどこかで混ざらなければならないが、混ぜるメカニズムが分からない。
- 塵が集まり、自分の重力で固まったという説がある(重力不安定モデル)。だが、塵の流れに乱流があると充分な密度まで密集できない。この辺りが解明できていない
- もう一つ、塵が衝突しながら集まったという説(付着成長説)がある。ところが、岩石が主成分の塵だと衝突したときに壊れてしまう。塵が微惑星になったことはエッジワース・カイパーベルト天体の存在から明らかだが、メカニズムは不明。
- 巨大ガス惑星は原始惑星円盤のガスを取り込んだはずだが、計算すると天王星や海王星があれだけのガスを集められる時間は無かった。
- 重力不安定モデルで塵がメートルサイズまで成長するとガスの抵抗が大きくなり、100年〜1000年程度で恒星に降下していってしまう。
- 水星サイズまで成長すると、今度はガス円盤との相互作用で落下してしまう。
- 巨大惑星は原始惑星系円盤に溝を作る(軌道上の塵やガスは取り込んでしまう)。ところがガスが恒星に降下すると同時に溝も降下していき、惑星も恒星に向かって落ちていく。(ホット・ジュピター) なぜ、太陽系でこれが起こらなかったのか
- ガス惑星はまずコアができてそれがガスを取り込んだと考えられている。ところが、地球程度の質量になると今度は重力によって周囲の微惑星を弾いてしまうため成長できなくなる。
- 太陽には同じ分子雲から生まれた兄弟がいるはずだが、見つかっていない
- 金星の水は高温で水蒸気化したあとで紫外線により水素原子と酸素原子に分解され、軽い水素原子が逃げ出してしまいなくなったと考えられている。では、酸素原子はどこにいったのか?
- 地球の月はジャイアントインパクトでできたと考えられている。しかし計算すると同規模の衝突は2〜3回起きていたはず。1回だったのか複数だったのか? 複数だとしたらその「月」はどこへいったのか?
- 惑星は外に行くほど大きくなる。現在の理論では外側ほど集められる微惑星が多くなるからと説明されるが、それでは、なぜ火星は地球より小さいのか?
- 標準的な理論ではガス惑星はコアがガスを集めたとなっている。しかし観測によれば木星のコアは非常に小さい。
- なぜ、土星のリングだけが大きいのか
- グラン・タック・モデルでは、木星と土星は一旦火星軌道近くまで移動し、その後現在の場所に移動した。海王星は元々天王星よりも内側にあったが外に移動した際に天王星を追い越した、となる。しかし真偽は不明
楽しそうだよなあ。