k-takahashi's blog

個人雑記用

軍事研究 2015年7月号

軍事研究 2015年 07 月号 [雑誌]

軍事研究 2015年 07 月号 [雑誌]

次の「大祖国戦争」を担う大量の新型兵器(小泉悠)

5月にロシアが行った軍事パレードの解説。アルマータ(T-14)が注目を集めたけれど、他にも新兵器が目白押しで、記事によれば11種類もの新型兵器が登場したとのこと。
独仏の「配慮」や、米国の「黙殺まではしない」という態度、中国人民解放軍のパレード参加、など政治的にも色々あり、記事では、「9月に北京で開催される対日戦勝記念式典にロシア軍を参加させる」「ロシアが歴史認識問題で中国側に歩み寄り」などとまとめている。


T-14については奈良原裕也氏も別の記事で紹介している。重量の50トンは、IL-76大型輸送機に合わせたものだろうとか、爆発反応装甲がないことからT-90よりも格段に防御力が増したのだろうとか、分析している。ちなみに、1両9億円のこの戦車(あるいはシリーズ型)を2020年までに2300ユニット生産だそうで、東欧諸国からしたらとんでもない話ではある。

中国による南シナ海の完全支配!(田中三郎)

中共による「南シナ海埋め立て」の状況と狙いの分析。
狙いは「南シナ海防空識別圏を設定し、宣言する」こと、特に重要なのが「2014年から隠密裏に始められた永暑礁」が要、としている。

87式自走高射機関砲の実射訓練を追う(芦川淳)

87式自走高射機関砲を有する第7高射特科連隊の取材記事。52両しかなく大半が北海道にいるため目にすることが少ない車両。第7師団の戦車に同行するという任務の性格上第7師団と同じところ(東千歳)にいるのだが、編成上同じ連隊に属する短SAM中隊は別の場所(静内)にいるという変則的な編成になっている。
なお、ミサイルに対する機関砲の長所は、ECM妨害に強いこと、任意の点への射撃が可能であることがある。

全翼機爆撃機『B-2A』スピリット(石川潤一)

こちらも数が少ないB-2。
全翼機で尾翼が無いため「ニックネームを記入する場所が無い」とか、あんな形の割に「離着陸の容易さとしては空軍機の中ではF-15イーグル戦闘機に次ぐ」のだそうで。

産業革命とドイツ参謀本部(田村尚也)

ドクトリン解説連載の第3回。産業革命期は、兵器の改良が進み歩兵火力が増大(ミニェー弾やプリチェット弾)、これにより横隊・縦隊・散兵を組み合わせた「混合形態」の戦術が無効化された。さらに、後装化ライフルの登場で「伏せたまま装填できる」ようになり「匍匐前進」が可能になった。
戦略レベルでは「電信や鉄道の活用」が実用化。これもプロイセンが先鞭をつけ、モルトケは「外線作戦」で実証してみせる。
ところが、外線作戦は味方部隊が分散するため指揮が困難になるという問題があった。そこに登場したのが「委任戦術」。そして委任戦術が成り立つためには隣の部隊がどのように動くかを正しく推測できなくてはならない。そこで各指揮官が準拠する「軍事行動の指針となる原則」が必要となる。これがドクトリン。

米陸軍平和維持・安定化作戦研究所(嘉納愛夏)

PKOのドクトリンを研究している米陸軍平和維持・安定化作戦研究所のレポート。米軍人約300名、留学生訳80名(73カ国)だそうだ。
所長のダン・ピネル大佐のインタビューがあり、「米軍は国連に部隊を派遣していないので、そのための訓練が必要」というのがあった。
日本のPKOは1992根苑のアンゴラ、同年のカンボジアあたりが嚆矢。日本の課題としては「派遣される現地の状況と最悪を想定してない法律」がある。

プーチンは危険な戦略思考の持ち主か(三井光夫)

これは興味深い記事で、プーチンの行動を正当化するならこんな感じかなというまとめになっている。
米国の内政干渉に備えるためだというトーンで、こういう感じで正当化ロジックがたっているなら、そりゃ侵略を自分で止めるはずはないよなあ、というところ。
ただ、中国もそうだが、程度の問題というのを無視した上に、国連常任理事国という立場にあるにもかかわらず国連が第二次大戦後に築き上げてきた大原則を踏みにじっているという点はどうにもならんよなあ。

日本人斬首のシリアに潜入!(桜木武史)

シリア北部のコバニへの潜入レポート。
ダーイシュに欧米の若者が引っかかることが問題になっているが、一方のクルドにも似たような感じで西側の若者が入り込んでいるようだ。戦場ロマンはフィクションの中だけにしておいて欲しい。