k-takahashi's blog

個人雑記用

メイカーズ進化論 〜DMM makeを進めている人の視点から

メイカーズ進化論 本当の勝者はIoTで決まる (NHK出版新書)

メイカーズ進化論 本当の勝者はIoTで決まる (NHK出版新書)

DMM.make AKIBAの小笠原治氏の本。
イカーズムーブメント、クラウドファンディング、IoTなどについて、日本の視点・実際にメイカーズである立場から語り直している。
なので、人によっては大半知ってるよという内容かもしれない。


ただ、内容を知っているとしてもそれをうまく説明するというのは別の話。そこのところは凄く参考になる。いい本です。


例えば、IoTの解説の部分。
IoTの言い方には色々なものがあるが本書では、IoTは「モノのインターネット」ではなく「モノとコトのインターネット」と捉えるべきだとしており、なるほどと思った。
ただ、この辺を偉い人に説明するときに「モノを接続してコトにする」という言い方をよく使うので、「IoTはモノとコトのインターネット」と言ってしまうと最初の説明のときにどうしようかというのが困るかもな、と思った。著者はこの辺はどう説明しているのだろう。(そこの説明では困っていないのかも知れないが)


経産省のグローバルニッチについても

エンドユーザー向けの製品を作っている企業というよりは、やはり「匠の技術が光る」といった従来の古き良き日本的なモノづくりであり、「部品メーカーまたは加工メーカー、つまり最終的な製品を作る企業にとっての「下請け企業」がほとんどです。
僕はこの「グローバルニッチ」を考えるにあたっては、もっと最終的な製品として「売れる」ことを目指していくべきなのではないかと思います。セレボのいわささんや僕が言う「グローバルニッチ」というのは、最終製品として「売れる」ことを目指しています。
(No1066)

最終製品(最後に渡す部分)を意識するべきだとしている。


IoTを使ったレコメンデーションについても、よくあるのは「タイミング良く広告を出す」だけれど、本書はもっと上手く説明している。
玄関の傘立ての色で「傘を持っていくことをお薦めする傘立て」というのがあるが、

人間の「動作」がセンシングされ「予定」と組み合わされることで、「傘を持っていくか、いかないか」というように、人間の行動に変化が起こることがポイントだと思います。なぜなら、ゼロから大きく人間の行動を変えることはとてもむずかしいけれど、タイミング良くお知らせすることで、傘を持つ動作程度の行動なら変えることはできるのではないかと考えているからです。(No.1410)

言っていることは広告出しと似たような話だけれど、この言い方の方がいい。これをゲーミフィケーションと繋げたら、など考えも広げやすい。


一方で、ところどころ「?」と感じる部分もあった。意図的にずらしているなら良いけれど、例えば「IoE(Internet of Everything)」。シスコが3年前から使っている言葉を新しい言葉のように使うのはどうかと思う。(ググればシスコのページがひっかかる。)趣旨は良いし、本人がたまたま知らなかったり見落としたりすることもあるだろうが、回りにも知っている人がいないというのはちょっと危うさを感じた。(もちろん、シスコの主なターゲットと小笠原さんのターゲットとは違うと言えば言える。でも、インダストリー4.0の話を出しているのだから、知らないのはちょっと)