k-takahashi's blog

個人雑記用

シン・ゴジラ 〜君たちも好きにしろ

ゴジラ(54)を始祖とする日本の怪獣映画。
色々あったのを一度ゴジラ(54)まで巻き戻し、ゴジラのいる世界においてもう一度続編を作り直したのがゴジラ(84)とビオランテ(89)。
人間に見向きもしないゴジラ(とムートー)という設定で世界に通じる怪獣映画を作ったのがレジェンダリー・ゴジラ(2014)。


それに対して、今度はゴジラ(54)の前にまで巻き戻し、加えて様々な怪獣映画(ゴジラに限らず)と怪獣映画の派生作品(映画に限らず)との成果をもとにゴジラ(54)を2016年日本を舞台に再発明してみせた。
東日本震災のモチーフが様々に取り入れられているが、これがゴジラ(54)では戦争だったわけだ。60年前に初めてゴジラを見た人達は、こういうふうにゴジラを楽しんだのだろうという想像も興味深い。


僅か2時間の映画に燃えシーンがこれでもかとばかり盛り込まれていて、しかも映画のストーリーはきっちりしていて、大満足。基本的にはベタな展開なのだけれど、よくできた脚本ってそんなもんだよな。演出テンポも良い意味でアニメ的(というか、実写をアニメに取り込んだのを実写に反映させたという感じか)。取材も相当きちんと重ねていることが分かる。怪獣映画は広義のSFで、SFってのは大嘘以外はリアリズムを高めるのが常道。そこに手抜きな感じられない。
キャラも良いキャラ多くて楽しい。(尾頭さんはじめとした巨災対メンバーとか、牧博士とか) 2時間枠とは思えないキャラクターの多さ、そこに当てられた俳優陣の厚さもかなりのもの。
細かいこと(細かくないこともあるが)を言えば色々言えるだろうが、「だからどうした」と言い切れる力がある。


ネタバレは、確かに大きいのが幾つかあってストーリーにも影響するが、それよりは細かいところを気にする人がでるかなあ。まあ、ネタバレは避けた方がいいだろうけど、楽しみ方にはほとんど影響しないと思う。
使うのかどうか分からないけど続編への引きも入れてある。


一部の人が「気にくわない」といって騒ぐのはまあ分かる(共感はしない)が、格好良さ優先・面白さ優先のベタベタな怪獣映画にそんなこと言ってもしょうがあるまい。
海外向けに売るときにどうこうという話もあるようだが、そんなのどうでもいいじゃん。初代ゴジラのとき海外マーケットなんか考えてなかったはずだし、今はそっちはレジェンダリーゴジラに任せておけばいい。


台詞が早いというのを耳にしていたのでちょっと心配していたのだが、音響が良い映画館(IMAX)だったせいか別に問題なし。あのしゃべり方の方がリアリティが出てるし。

一つだけ苦言

これを作るのにスタッフやプロデューサーがどれだけ苦労したかは容易に想像がつくが、それだけに、もう少し予算付けられなかったのか、というのは感じた。
特に今回昼間のシーンが圧倒的に多いので、特撮にもっと金かけさせてあげたかったよ。