k-takahashi's blog

個人雑記用

ダンジョンズ&ドリーマーズ

ダンジョンズ&ドリーマーズ

ダンジョンズ&ドリーマーズ

 本自体の紹介はこちら。簡潔にまとまっている。 原書発売が去年、 翻訳が去年末と、極めて旬なのも良い。


上記の紹介には「PCゲーム業界のプロジェクトX」とか書かれているが、 前半部分の印象は 「新電子立国 テレビゲーム巨富の攻防」に近い。 自分で作ったゲームを自分の手でパッケージングして発送したりするところなんか、 デジャヴのようだ。


本書全体の主役はリチャード・ギャリオット(ロード・ブリテッィシュ)。 本書は彼のエピソードに始まり、彼の現状報告で終わる。 とは言え、彼ばかりを追っているわけではなく、 多くのエピソードの紹介が面白い。 (もっとも、彼の言う新ゲームの開発はここ1年ほとんど情報が無く、 開発が難航していることが伺える。)
ただし、本書は焦点をMMOコミュニティに当てているのに注意。 その視点があるからこそ、 ゲーム・バッシングに関する充実した記載があり、 LANパーティの熱気あふれる様子が生き生きと描写されている。 一方、 ウィザードリ〜ダンジョン・マスター〜ディアブロのような重要な流れが欠落していたり、 コンソールゲーム機についての流れが見えなかったりもする。


非電子ゲーマーとしても、スティーブ・ジャクソンD&Dが登場する場面は 興味深く読めるだろう。 もっとも、スティーブ・ジャクソンを負け組、リチャード・ギャリオットを勝ち組、 と露骨に描写している部分に不快感を感じなかったわけではないが。


ときにTRPGの普及の妨げの一つが説明の難しさだとしたら、 次の文はちょっとした希望になるのかもしれない。

私たちスポーツゲーマーは、ロールプレイングゲームのファン連中が いったい何をしているのか、見当も付かなかった。 彼らが実際に集まってプレイしているのか、 オンラインでプレイしているのかさえ知らなかったのさ。
でも、今は違う。 私たちのゲームもオンラインになって、 彼らが何をしていたのかがようやく分かったんだ(p.373)

ここで語られているのはMMOのことだけどね。