- 作者: 結城浩
- 出版社/メーカー: SBクリエイティブ
- 発売日: 2007/06/27
- メディア: 単行本
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数学への≪あこがれ≫−それは、男の子が女の子に対して感じる気持ちと、どこか似ているような気がします。(あとがき、より)
というのがアイディアの素のようだ。個人的には違うように思うのだが、高校生の時に数学好きの女の子と仲良くなっていたら、あるいはその可能性を考えていたら、そう思っていたかもしれない。
登場人物は、僕とミルカさん(同級生)、テトラちゃん(下級生)の3人。現在の教育課程がどうなっているかは知らないのだが、基本的には高校数学で扱える範囲の上界を伺うような内容。なので、微積や無限の扱いについては、深入りしないように躱している。
ミルカさんパートでは内容的にチャレンジングなものを、テトラちゃんパートでは手続きや考え方をきちんと確認することを、方向性として持っており、それが最後には同じ問題に取り組むという形になっている。相手によって態度を切り替えるというと問題への姿勢を切り替えるというのが対応しており、物語として分かりやすい。そして、最後には3人で取り組むという形になっている。
離散世界での微分に相当するものを考える(第6章)というあたりからの展開は、私にとっては新鮮な展開だった。本当は自分でも手を動かすべきなのだろうけれど、先を読みたい気分の方が先に立ってしまったので、ちょっと慌て気味に読み終えてしまいました。もしかすると少し損をしたのかもしれない。
数学の本というのは、読んでいるときに「自分の頭が良くなったかのような気分」になれるのが私にとっての魅力。なので、簡単過ぎたり難しすぎたりするのはミスマッチということになる。その意味で、微妙に背伸び感が得られる本書は、非常に良い塩梅でした。理系大学卒だけど本格的数学とはご無沙汰という人には、萌えるかどうかはともかくとして、お勧めです。
ミルカさん、テトラちゃんのイメージイラストは本書のカバーに描かれていますが、途中で「気まぐれオレンジロード」の二人を思い起こしてしまい、イラストイメージがそっちで上書きされてしまいました。(あの二人が数学に取り組むとは思えませんが。) それだけ基本的なパターンということでしょう。ということは、萌として正しいのかな。そこはよく分からない。
良い本でした。現役高校生が自力で読むのはちょっとつらいかもしれませんが、同じ学校に一緒に読んでくれる友人がいればなんとかなるかも。(実際にミルカさんなりテトラちゃんなりがいればベストなんでしょうが (^_^))。 できれば、続編を「無限と連続」ネタで、というのは無理かなあ。