k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン2007年9月号

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 特集はダイヤモンド。研磨技術が確立するまでは単なる硬い石だったのが、手法確立後は極めて貴重な鉱物となっていた。19世紀までダイヤモンド鉱山は一つも知られていなかったからである。それまでは偶然見つけるしかなかったのだ。
 さで、ダイヤはどこでどのようにできるのか? 人工ダイヤモンドの製造の過程から、5万気圧、1000度以上という条件でダイヤが生まれることが分かった。地球上でこの条件を満たすのは地下150キロ以深となる。ダイヤモンドが希少な理由の一つが、そう言った深さでは炭素が微量であること。もう一つの理由が、ダイヤモンドの結晶がゆっくりと冷やされるとグラファイトになってしまうということ。そもそも作られにくく、その上地上にもたらされにくいのである。グラファイトにならずに地表にもたらされる条件が表紙に書かれている「超音速で運ばれた」になる。

 宝飾品としての価値はさておき、鉱物として見たときのダイヤモンドの一番の価値は、この「地下150キロから超音速で運ばれた」という点にある。ダイヤの4Cの一つ「クラリティ」を下げる要因の一つに「インクルージョン」と呼ばれる含有物がある。ダイヤの作られ方を思い出すと分かるが、このインクルージョンとは「地下150キロのマントルがそのまま」封じ込められている標本ということになる。これが貴重な資料となる。

 2003年に愛媛大学の入船教授が超高硬度ダイヤモンドの合成に成功した。これは10ナノメートルサイズのダイヤモンドの集合体で、硬度の絶対指数であるヌープ硬度(ちなみに、モース硬度2の石膏がヌープ硬度32、モース硬度9のコランダムがヌープ硬度2000、普通のダイヤモンドがヌープ硬度8000。)で通常のダイヤの2倍だという。実は天然にも存在するのだが、その生成過程は謎。

 この特集記事で一つ面白かったのが、イラストに出てきたマントルの色。普通は赤や黄色で書かれるが、今回は緑色。主成分がペリドットなどの緑色の鉱物だから緑色にした(冷えた状態の色)のだそうだ。ちょっと面白かった。


 写真はウミウシの写真集が面白かった。派手な色のウミウシの写真がたっぷりと堪能できる。なんか、見た目怪獣みたいですけど。
なお、ウミウシは貝殻を捨てた巻き貝であって、幼生の頃は殻があるのだそうだ。