k-takahashi's blog

個人雑記用

韓国戦争記念館 The War Mmorial of Korea

 去年の8月は中国人民革命軍事博物館を見てきました(http://d.hatena.ne.jp/k-takahashi/20060825/1157007159)が、今年はソウルのを見学。
 地下鉄4号線、あるいは6号線の三角地駅から歩いて3分ほどのところにあるのが韓国戦争記念館。1階の半分が歴史関係、2階のほぼ全部と3階の半分とが朝鮮戦争(韓国戦争)、2階の一部が海兵隊、3階の半分が国際貢献と現在の陸海空軍、といった分類。
 一部で言われているような「朝鮮戦争を忘れて反日ばかりに躍起になっている」などということは、すくなくともここにはありませんでした。

歴史部門(The War History Room)

 歴史の部分は、いきなり三国時代とか出てきて一瞬「?」と思いましたが、朝鮮にも三国時代高句麗百済新羅)ってありましたね。
展示の説明文は基本的には韓英中日の4 カ国語対応なのですが、日本語の解説なしとか、英語の解説もなしでハングルだけとか、各国語の説明文の長さが妙に異なっていたりとか色々あるので、勘ぐるのも面白かったりします。

 部屋の真ん中に亀甲船の実物大模型が展示されていました。

 任那元寇、和冦あたりまでは日本語の解説もあるのですが、和冦征伐の項目は日本語無し、それ以降は日本語は省略されている部分が増えてきます。ある意味気を遣っているとも言えますな。

 一応、安重根も一展示スペース分設けてありました。彼専門の記念館は別にあるので、まあ扱いとしてはこんなものかと。


 日韓併合から独立回復に至る期間については、面白かったネタが2つ。
一つは1920年10月に起こった青山里大捷の戦いの展示(wikipediaの記述はhttp://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9D%92%E5%B1%B1%E9%87%8C%E6%88%A6%E9%97%98)。韓国独立軍3000が日本軍5000を破った戦いだそうです。wikipediaの記述では相当問題あるようですが、まあ神話レベルの話と捉えればよいのでしょう。この戦いがどのくらい重要視されているかというと、なにしろ、戦場模型まで設けてあります。ただ、日韓併合時代の大きな戦いはどうやらこれだけという認識のようです。
 

もう一つは1945年に計画されていた、朝鮮半島侵攻作戦の図。半島西側の8カ所に上陸、上陸できない部分には空挺作戦ということで一気に朝鮮半島を攻め落とすという壮大な作戦。米軍指導下で一応部隊はあったわけですが、どう考えても現実味はありません。実行前に日本が降伏してしまったので、と一応書いてありました。

 両展示とも日本語の解説は無し(あたりまえだ)、英語の解説も簡単なものだけで、実際のところハングル部分に何が書いてあるのかは分かりません。まあ、図だけでも面白いのでよし。

朝鮮戦争

 日本の降伏条件の中に韓国の独立も含まれていた、というところから始まり、米ソによる分割、韓国の選挙、米軍の撤退、北朝鮮ソ連の密約、軍事挑発、各種謀略、そして1950年6月25日の開戦というところから丁寧に解説されています。この時代になると、また日本語の解説がしっかり復活しています。
 開戦時の両国の国力比較(圧倒的に北朝鮮が優勢)もあり、韓国に戦車も自走砲もゼロだったことや兵力もほぼ2対1で韓国劣勢だったことが示されています。

色々細かい展示もあるのですが、残念ながらそういうのはハングルの説明だけでよく分からず。史実ではこのあと釜山橋頭堡まで押し込まれるのですが、「遅滞作戦は頑張った」とかの記述もあり。マッカーサーの仁川上陸からの逆襲、中共の介入なども一通り。
北朝鮮の進撃
釜山橋頭堡
仁川上陸
仁川上陸のパノラマ
 その後は国連軍各国の紹介とか、被災当時の生活場面の再現とか。国連軍各国の紹介はかなり丁寧なもので、少なくともここの展示には「亡国の危機を救って貰ったことへの感謝」が感じられました。
戦場体験室(Battle Field Experience Room)というのもありましたが、工事中で入れず。当時の映像資料のライブラリも併設されていました。


 海戦の紹介部分で(一応、ちょっとは海戦があったんです。米軍が来てからは事実上海は韓国側の支配下になりましたが)、「北朝鮮陸軍の南進開始前に、北朝鮮は特殊部隊を上陸させており、さらに武装輸送船が釜山沖に現れた。しかしその船は海戦の結果、韓国海軍により撃沈された。これは韓国が先に北朝鮮を攻撃したという北朝鮮の主張が誤りである証拠だ」とか書いてありました。
 (ちょっと読むのは厳しいかも。)
 念のため書いてあるのか、それとも韓国にも北の妄言を信じる人が増えているのかは不明です。(日本も人のことは言えない。ほんの20年前には「北の奇襲により韓国軍が敗走した」と言う発表が圧力をうけていたのだから)

海外派遣

 朝鮮戦争後の韓国軍はベトナムに派遣されています。その関係の展示も充実していおり、「その優秀さを世界に示した」となっています。


 その後は、国連軍への参加が色々と。こんな展示もあります。
 
この図は歴史的なものも全部含んでいます。元寇込みなので日本へも派遣の矢印が伸びています。


 陸海空軍の展示部分は改装中。例の謎揚陸艦空母の展示があるかと思っていたのでちょっと残念。


実物展示

 屋外には、車両類、火砲、ミサイル、航空機などがずらりと並んでいます。米軍のものが多いですが、北朝鮮が使ったソ連製兵器も含まれています。
一番手前は韓国のK1戦車
SU100

ミサイルとかも
B−52があったのにはちょっとびっくり。よくこんなもの譲ったな>米軍
B-52


 記念館の正門を入ったところにある「韓国戦争記念碑」。これを挟む形でT−34とシャーマンが展示されています。
  
そして、こんな碑文も。

確かに韓国の今の大統領とかその取り巻きとかには色々問題ありますが、それでも軍事については韓国は日本よりまだまだまっとうな神経をしているのかなと思いました。

おみやげ屋さん

 なぜ、こんなところにガンダムや軍曹がいるのでしょうか? (^_^)