k-takahashi's blog

個人雑記用

SFマガジン 2008年3月号

S-Fマガジン 2008年 03月号 [雑誌]

S-Fマガジン 2008年 03月号 [雑誌]

 2007年度の英米SF賞受賞作特集。つまり、発表は2006年ということになる。


「十億のイブたち」(ロバート・リード)は、奇妙な男性支配社会の話。平行世界に一人の男性と数十人の女性が転移した、もはやもとの世界に戻る術はない、というギャルゲーか何かのような設定だが、本作はギャルゲーではないので、その後の展開は色々とあるわけです。ともかくも、転移装置は実在するという設定なので、それを実行しようとする連中は後を絶たず、目を付けた女性をさらって転移してしまおうという事件も後を絶たない。後半はSFらしく世界のありかたの話になっていきますが、短編では書き切れていないような印象。でも、受賞作だというのはまあ納得。


「エコー」(エリザベス・ハンド)と「シスアドが世界を支配するとき」(コリイ・ドクトロウ)は、どちらも世界が滅亡しかけているなかで、コミュニケーションが細々と続く話。前者は叙情的な孤独感に溢れた話で、後者はギークネタのお笑い系の話。
ドクトロウはこういう話が多い作家で、コンピュータ好きが面白がるのは分かる(世界が滅びかけている。テロリストがネットを使っているらしいが、ネットを切るべきか、維持するべきか、という議論があったりする。ちなみに、グーグルは女傑が仕切っていたりもする。)のだが、賞を取れるほどの話かというとちょっと疑問。