k-takahashi's blog

個人雑記用

拡張幻想

拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

拡張幻想 (年刊日本SF傑作選) (創元SF文庫)

年刊日本SF傑作選の2011年版。
前半あたりを読んでいて、「大丈夫なのか?」と懸念を感じた。確かに、小松左京と東日本震災は大きなトピックだっただろうけれど、それがまとまるとこうなってしまうの?と。


ただ、中盤あたりからはだいぶ持ち直したような感じで楽しめた。


『良い夜を持っている』(円城塔)は言語SF(だと思う)。チャンの『あなたの人生の物語』と違って、遣い手自身が変化していくのが面白い。遣い手・研究者・語り手というややこしい構造もまた楽しい。


第3回創元SF短編賞受賞作『<すべての夢|果てる地で>』(理山貞二)は力作。タイトルから量子系の話なのはわかる。冒頭のアクションはちょっとありきたりかと思ったけれど、証券会社の陰謀系からあれよあれよと話が広がっていく。「エリック」は上手いと思った。


『絵里』(新井素子)は、珍しい新井素子の短編。著者の私生活を詮索するのもどうかとは思うけれど、本作については長編のテーマにも関わるものでもある。