- 作者: 大森望,日下三蔵
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/06/28
- メディア: 文庫
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前半あたりを読んでいて、「大丈夫なのか?」と懸念を感じた。確かに、小松左京と東日本震災は大きなトピックだっただろうけれど、それがまとまるとこうなってしまうの?と。
ただ、中盤あたりからはだいぶ持ち直したような感じで楽しめた。
『良い夜を持っている』(円城塔)は言語SF(だと思う)。チャンの『あなたの人生の物語』と違って、遣い手自身が変化していくのが面白い。遣い手・研究者・語り手というややこしい構造もまた楽しい。
第3回創元SF短編賞受賞作『<すべての夢|果てる地で>』(理山貞二)は力作。タイトルから量子系の話なのはわかる。冒頭のアクションはちょっとありきたりかと思ったけれど、証券会社の陰謀系からあれよあれよと話が広がっていく。「エリック」は上手いと思った。
『絵里』(新井素子)は、珍しい新井素子の短編。著者の私生活を詮索するのもどうかとは思うけれど、本作については長編のテーマにも関わるものでもある。