k-takahashi's blog

個人雑記用

シルバーレイン

シルバーレインRPG (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

シルバーレインRPG (ログインテーブルトークRPGシリーズ)

 PBW展開していたシルバーレインTRPG版。時間ができたので一通り内容確認。予想以上に使いやすく考えて仕上がっていました。


 キャラメイクと成長はありがちなもの。背景世界は、特殊な「能力者」が目覚め、ゴーストが怪異を引き起こしている現代日本で、PCは基本的に学園の生徒限定。その学園にいる「運命予報士」というNPCが能力者に事件の解決を依頼するというのが基本パターン。よくあるタイプではある。


 まず、行為判定。
 各プレイヤーには4〜7枚のロールカードが最初に渡される。判定は、「能力値+ロールカードのカードパワー」で示される達成値がGMの指定した目標値以上になれば成功。基本的にロールカードは使い捨てで、補充はチャプター終了時に行われる。チャプター中にカードを増やすためには「変換」を行えばいい。「変換」は「運命の糸」というポイントをカードに変換することである。この「運命の糸」ポイントは、ロールによって獲得できる。
 「運命の糸」ポイントをロールによって獲得するには、行為判定時にロールカードに書かれている「アクトワード」を使った演出をすればいい。ポイントは演出を行うと即座に得られる。つまり、判定の正否には関係ないということになる。
 だから、常にアクトワードを意識した判定を行えば、カードの枚数は減らないということになる。もちろん、重要な判定の際には1度に2枚のカードを用いた判定を行う(上限は2枚)ことになり、ポイントは1回の判定では1ポイントしか得られないから、重要な判定の回数には上限ができる。
 この判定システムが、シナリオ構造に上手く繋がっている。


 シルバーレインのシナリオは

  1. オープニング・チャプター
  2. アドベンチャー・チャプター
  3. バトル・チャプター
  4. エンディング・チャプター

という構造を持つ。オープニングは前述の運命予報士からの情報提供、バトルはラスボス戦、エンディングはエピローグと報酬・成長処理、ということになる。アドベンチャー・チャプターだけは、複数のサブチャプターに分かれている。
 各チャプターには「終了条件」が設定されており、チャプター開始時にGMはプレイヤーにこの「終了条件」を告げる。
プレイヤーは、手元のカードを「情報」や「運命の糸」に変換し、適当なところでチャプターを終了させるというようにプレイすることになる。(当然、ラスボス戦の時には「運命の糸」ポイントが貯まっていないとまずい。)


 ここで、シルバーレインでは、「予報シート」というシナリオフォーマットを提供する。このフォーマットでは、アドベンチャー・チャプターで獲得しなくてはならない情報が最大20個(但し、その中にいくつかはオープニングチャプターで提供される)、各情報を獲得できる方法が最低3種類ずつ、サブチャプター数が最大6個と規定されている。もちろん、プレイヤーは何が「獲得しなくてはならない情報」であるかは知らないが、各チャプターで獲得しなくてはならない大きな情報は3〜4個くらいだろうと推測できる。


 するとプレイはどうなるか。
 各PCは、比較的弱めなカードをポイントに変換し、そのポイントをカードに変換する。こうして良いカードが来るまで手札を回転させるわけだが、その過程でアクトワードによる演出が必然的に成されることになる。アクトワード演出による「カード→ポイント」変換は、他人の判定に相乗りすることも可能なので、自然とパーティはまとまって行動することになる。プレイヤーは、大きそうな情報の5〜6個も得たら、残ったカードをポイントに変換し、プレイヤー自身の判断でチャプターを終了させる(終了条件をプレイヤーが知っているから)。最後はラスボス戦をやってエンディング処理でシナリオ終了。
 これは、GMにかなり優しいシステムですよ。演出も進行もかなりの部分をシステムとプレイヤーがやってくれる。シナリオについては、フォーマットは準備されているし、PBWからも流用可能。


 PBWで、少数のマスターが、多数のプレイヤーを相手に、同じシナリオを何度もプレイする、という処理の効率化を行う過程で生み出された手順だと思います。それをGMの負担を減らす方向でTRPGにまとめたのは中々のもの。本当に機能するのかどうか、バランスはどうなのか、そもそもこのゲームは面白いのか、などについてはプレイしてみないと分かりませんが、ルールブックを読む限りでは、きちんと考えられたシステムだと思いました。