k-takahashi's blog

個人雑記用

軍用輸送機の戦い

軍用輸送機の戦い―機動力がもたらす航空輸送の底力 (光人社NF文庫)

軍用輸送機の戦い―機動力がもたらす航空輸送の底力 (光人社NF文庫)

 手始めに第一次大戦期の話が少しあり、その後は大戦間の開発経緯紹介、第二次大戦時の活動を紹介し、ベルリン空輸作戦までを扱っている一冊。基本的には第二次大戦がターゲット。


 1920年代を民間機会社として、制約付きながら活動を続け、Ju52を生み出すユンカース。C-47を生み出すダグラスもまた、民間機DC-2の開発でヒットを飛ばしていた。この2つで全体の約半分を費やして解説している。他に、大型グライダーと派生輸送機(Me321、Me323)やカーチスC-46など。
 この時期は、大戦間に開発された旅客機を改造したり旅客機から派生させたりして輸送機を作ることが多く、その辺の経緯も詳しく解説されている。爆撃機への変更は、やはり敵のただ中に突っ込んでいくという用途上、民間機ベースでは苦しい。同じ理由で空挺作戦も厳しく、とくにグライダーの場合は、相当の破損率だったようだ。


 全体に、開発経緯紹介が主で、運用や作戦実施についての記述は少なめですが、空挺関係の主要な戦い(エバン・エマール、ノルウェー、マルタ、シシリー、ノルマンディー、マーケットガーデンなど)は紹介されています。
 Ju52の可用機数の時間的経緯のグラフくらいは載せてくれてもいいと思うのだが、そちらは本書の主目標ではないということで。Ju52、C-47回りの開発解説は、当時の他の開発機やライバル機の紹介も含めて充実しているので、そこを中心に。