k-takahashi's blog

個人雑記用

サイエンス・イマジネーション

 昨年開催されたワールドコンの、通称「瀬名企画」を一冊の本にまとめたもの。実は、去年会場に聞きに行っています。(http://d.hatena.ne.jp/k-takahashi/20070901/1188661133
 会場で感じた面白さというのは半分以上取り入れることができていると思います。AIとかロボットとかに興味があるならお薦め。コミュニケーション論が気になる人にも面白いと思います。


一つ、去年のメモに無かった部分から引用。

 でもよく考えてみると、私たちは酒を飲んでハッピーになっていますよね(場内笑い)。人間は珈琲やお酒を飲み出した頃からふつうの生物じゃなくなって、自分の脳の活動を自由に操ることをむしろ善しとしてきたんです。みなさんはあまりそれを意識していないけれど。だからみんなおかしいんですよ、マッドなんですよ(場内笑い)。みんなおかしい、生物から考えると。(p.066、川人光男氏の章より)


 自分の去年のメモの不充分なところとかもきちんとフォローされていました。去年横浜の会場で聞いた人にもお薦め。というか、むしろ会場にいた人に強く推薦します。瀬名秀明という才能が本という形式にまとめ上げたコンテンツのリアリティと、現場で話を聞きながら感じたリアリティの違いというのに思いを巡らせることができるのは、あの会場に実際にいた人だけなのですから。
 当日会場にいた作家の先生方が、その会場で感じたリアリティを再構築したのが掲載されている小説群なのでしょう。そう思って収録短編を見ると、瀬名先生のが今ひとつ腑に落ちない。ヒトとロボットの境界の話ではあるのだけれど、あのディスカッションのどこに対応しているのだろう、とか。