- 作者: 小林めぐみ
- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2008/11/10
- メディア: 文庫
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男女の誕生比が9:1の植民惑星。3人の少年少女が冒険の末に発見した世界の秘密とは!
地球の環境汚染から逃れた避難船ダナルーが不時着してから300年。この星では男女が9:1の割合で誕生していた。16歳でカップリングできない男子は全員復興した地球へ回帰する。秀才少年ライカは都市の謎を調べ回り、勝ち気な少女ヒマリは地球に憧れている。そして地球行きを憂う少年アツはヒマリに一目惚れ。そんな3人が出会った喋るウナギは、ダナルーのある秘密を示唆する
(紹介文より)
一時的に避難するはずの船(宇宙船)が遭難してしまう。ただ、当初の目的は維持しており、定期的に地球に移民を送り返している。ただ、男女比が異常(9対1)なうえに維持できる人口に上限があるので、結婚から漏れた男性が地球に向かうというのが設定。
ダナルーの秘密に、唐突感がある割にあまり意外感が無いのが惜しいところだけれど、都市(宇宙船)内の描写とか面白いところが多い。社会面でも、美人に作られたロボットとか、16歳で選んだ相手が一生魅力的なわけはないことからくるある種の割り切り関係とか、当然存在する反体制派とかの設定もあり、それがストーリーに絡んできているのもよい。
主人公達3人が、今で言う高校生の年代なので、典型的なジュブナイルSFでもある。ティーンエイジャーが自由や責任に悩むというと平凡な話題ではあるが、特殊な環境のもとでは、それらの意識や選択も先鋭化する。もともと、40代のおっさんが主人公となる構想だったようだが、いろいろな形で社会に適応してしまった(だいたいにおいて歪んだ形で適応している)大人達を対比するという意味で、この変更は正解だったと思う。
あ、主人公達はもちろん魅力的なのだが、個人的なお気に入りはやはり「ウナギ教授」。いいキャラです。