第49回日本SF大会「TOKON10」2日目に参加。
例によって自分用備忘録の殴り書きメモです。
サイバーパンクの部屋
巽孝之、菊池誠、高野史緒、飛浩隆、日暮雅通、YOUCHAN、+小谷真理によるトークセッション。
サイバーパンクをネタにした雑談トークといった印象。
妙にミラーグラスの似合う飛先生。会場にもミラーグラスを配ろうとするが、眼鏡率が高すぎです。
生の高野史緒氏って初めて見たけれど、面白い人だった。
「東京というローカル」という観点と、そこからの敷延としての「各地域サイバーパンク化」という見方は面白い。
クトゥルーの御代
朱鷺田祐介、竹岡啓、森瀬繚、岡和田晃によるセッション。先日のSFマガジンのクトゥルー特集を受けての企画という位置づけらしい。
特集の後に、森瀬氏、岡和田氏がそれぞれ読者投稿のかたちで反論を送っていたけれど、この辺の「小説サイド」と「ゲームサイド」との間にある齟齬というのは、結構根深い問題かもしれないという指摘もあった。ゲームでは様々な舞台(歴史的な舞台、エキゾチックな場所、非常に身近な場所)を使いたくなるが、それが小説に出てくる舞台とは必ずしも一致しないとかいう話。
あとは、翻訳事情とか、最近の海外のラブクラフト研究の動向(実は旅行好きで、しかも旅行の結果がきちんと作品に反映されていたことを裏付ける証拠が揃った)とか、「美化されたラブクラフト像」と「常識人ラブクラフト」とか、ラブクラフトへのバロウズの影響とか、興味深いネタがたくさん。機会があれば発表してくれそうな感じなので楽しみ。
例のクトゥルーコミックが結構地方で売れているという現象もあり、クトゥルー神話という単語は我々が思っているよりも広い裾野に広がっているのかもしれない、とかも面白い指摘だった。
近場のビジネス展開関係は、一応伏せておきますが、一点。今月出る予定のコミック版クトゥルフに、クラークの短編が載るらしい。
SF学を復興セヨ!
豊田有恒、井口健二、瀬名秀明、八代嘉美による企画。かつて一世を風靡した『SF学』や『未来学』が今こそ必要なのではないか、というのがテーマ。小松左京って、凄かったんだなあ。
「作家は作品を書くためならプロの科学者とも真っ向から議論できる」とか、「エンタメに対する学者の態度は、分野にかかわらずOKな人からうるさいひとまで色々」とか、「映像関係者のSF嫌いは激しいが理由は分からない」とか、「最近の若者は未来と将来の区別ができない」とか。
科学とSFの関わり方、みたいな話になっていく中で、「エンタメとは読者の根幹を動かさないようにするのが基本。そうでないものはエンタメとするのは困難」といった話題も出ていた。
科学書の売り上げをもう少し伸ばす方法として、瀬名先生が「科学者が月3000円、ポピュラーサイエンスの本を買えば解決する」と言っていた。昨日のパネルでそういう話があったのかな? あとで探してみよう。
浅倉さんが愛したSF――浅倉久志氏追悼
大野万紀、小川隆、酒井昭伸、白石朗、高橋良平、山岸真によるトーク。但し、部屋の中には他にもプロの方々がずらりと揃ってました。
浅倉さんはユーモアが好きで、格好悪いのが嫌いな人だったそうですが、「ユーモアセンスとキリンヤガはどう結びつくのか?」とか、「実は嫌々引き受けた仕事があったりした」とか、「たった一つの、を訳すときに新井素子文体を研究した」とかの話題も出ていました。