- 出版社/メーカー: 早川書房
- 発売日: 2010/04/24
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そのせいで、なんとなく乗り切れないまま特集を読んでいたのだが、乗り切れなかった原因はもう一つあったというのに、後書きで気がついた。この特集って、毎年やっている「スプロール・フィクション」の路線が延長にあったわけね。
先月号に続いて、今月号にも「第5回日本SF評論賞」の入選作が掲載されている。「文字のないSF イスフェークを探して」(高槻真樹)。宇宙軍大元帥の「SFは絵だねェ」を巡る論考。それが非常に多義的に扱われているところの解説から、SFにおける絵と文字について語る。
良いなあと思った台詞を引用。
私たちがSFとして再発見し、新しい視点で紹介していくことによって、SFとして読み継がれ残っていく可能性がある。だからこそあえて、SFファンの目に付きにくい領域を中心に紹介してみた。(p.256)
前号のクトゥルー特集に対して、森瀬繚氏が「てれぽーと」に一文を寄せている。ダーレス設定や、TRPG「クトゥルフの呼び声」についての前号の解説に異議を唱えるもので、さすが森瀬氏。
2カ所引用紹介。
アーカムハウスから刊行された作品の中には、こうした「ダーレス設定」と矛盾する作品が幾つも見つかりますし、ダーレスが「旧神と旧支配者の対立」「四大元素説」を他の作家に強要した形跡は見当たりません。(p.204)
TRPG『クトゥルフの呼び声』のゲームデザイナーであるサンディ・ピーターセンが、むしろダーレス的な色合いを薄めた上で、ラヴクラフトの恐怖に回帰することを目指したことは『クトゥルフの呼び声』初版に掲げられた序文などから有名なお話です。(p.204)