k-takahashi's blog

個人雑記用

ゲームシナリオのためのクトゥルー神話事典 〜設定の生まれた経緯

「ゲームシナリオのための」シリーズの一冊。最近人気のクトゥルー神話についてまとめた一冊。
帯には

邪神の世界を素因数分解する

とある。ここでいう「邪神の世界」というのは設定のこと、「素因数」とは作家や作品のこと。つまり、クトゥルー神話の様々な設定は、誰がどのように設定したのかをまとめた、ということ。

クトゥルー神話の創造は、過去の誰かがこしらえた名称、設定の借用と不可分です。かつてラヴクラフトたちがそうしたような気楽な借用も、クトゥルー神話とつきあうひとつのやり方ですが、その名称、設定をいつ、誰が、どの作品で言及したのか、そのプロセスの把握は、決して無駄にはなりません。(はじめに、より)


新設定を付け加えるのは、クトゥルー神話という知的遊戯において歓迎されることではあるが、それでも何も知らずに付け加えたり、修正したりするよりは、知った上でやったほうがより楽しめる。商品として発表するのであれば、そういった深みは読者やプレイヤーによっても共有され、味わいを増すことになる、そいう観点から書かれた一冊。
何かの設定を使ったり、修正したりしようとしたときには、エンサイクロペディア*1等で確認すると思うが、設定の流れまでは書かれていない。本書はそういうことが書かれている。


そして、著者が言っているとおり、全部調べるのは大変なので、こういうガイドブックがあるのは非常に嬉しい。本来ならば、この本をベースにして更に詳細化していくのだろうけれど、さすがにそこまでするのは大変だよなあ。誰かやってくれると嬉しい(他力本願)


一つ要望を上げるとすれば、電子化してほしかった。
項目としてあげられている内容は整理されているのだが、それに別の切り方を加えようとすると色々とひっくり返さなくてはいけなくなる。電子化して、ハイパーリンクを張り、個々の記事にタグを付けてあれば、ひっくり返すのもだいぶ楽になると思う。
是非、次回作では検討頂きたいです。>森瀬先生


クトゥルー関係の本を何冊か読んで、頭が混乱してきたら読むと良いと思います。あと、クトゥルーネタで創作をするつもりの人も、ブレストのお供としてどうぞ。

*1:

エンサイクロペディア・クトゥルフ

エンサイクロペディア・クトゥルフ