- 作者: 大木毅,鹿内靖
- 出版社/メーカー: 国際通信社
- 発売日: 2010/08/08
- メディア: 単行本(ソフトカバー)
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冷戦終結による資料公開で色々と違いが出てきているが、細かい部分は置くとして(事実関係の変化については、注記や修正で対応している)、やはり大木さんの記事は読んでいて面白い。
個人的には、シミュレーターの記事はおおむね読んだことがあるもの(のはず)だが、歴史読本系は読んでいなかったので、それが読めたのが嬉しい。ヒトラーを巡る「プログラム学派」の話をきちんと整理して読めたのは参考になった。この視点から突き詰めた1923年を第1ターンとする「Hitler's War」というゲームは、ありえそうだ。(HoIで作ればいいのかもしれないが。)
この「プログラム学派」は、シミュレーションゲームとは何か?という話にも繋がっている。ヒトラーの意図に従って戦争が行われたという話なのだが、それは過度にドイツという経済や社会を軽視しているのではないか、まるでWWIIのSLGのようだ、ということになる。SLGが何を表し、何を捨象したか、という「見方」に繋がるわけだ。
なお、この「プログラム学派」は、現在では様々な論争を経て「不必要なまでに先鋭化していた論議が生産的な方向に転じて」いるのだそうだ。その結果、「ヒトラーの」戦争から「ドイツ人の」戦争へということになるわけで、まあ、政治的には色々大変そうだ。