k-takahashi's blog

個人雑記用

バニラのお菓子配達便 〜 もし女子小学生が藤浪智之のゲームブックを読んだら?

バニラのお菓子配達便! ?スイーツデリバリー? (角川つばさ文庫)

バニラのお菓子配達便! ?スイーツデリバリー? (角川つばさ文庫)

あなたが主人公!
スイーツショップに次々舞い込むふしぎな注文。
妖精デコといっしょに事件をかいけつして、あまいしあわせ、とどけよう!(帯より)

 一体全体何を考えて、今頃ゲームブックの新作を、それも女子小学生向けに出そうなどという企画が通ったのか、というのが正直一番気になるのですが、あまりに気になるので買ってしまいました。
 3部構成で、各部ともパラグラフ数は数十程度とそれほど複雑ではないものの、マップによる行く先管理、アイテム集め、謎解きによる特定パラグラフへのジャンプ(文字を数字に変換して合計する、というテクニックまで使っている。パラグラフ数を考えると、よくやったものだと思う。)、フラグ管理による番号ずらしなど、基本的な技術は綺麗にまとめられている。シリーズ化をするにあたって他の作家さんへのサンプルという意味合いもあるのだろう。
 このパラグラフ数で、きちんとマルチエンディング(4種類程度)になっているのもさすが。第三部では、第一部、第二部の結果が影響する仕掛けもある。


 主人公の「天馬ばにら」はパティスリー・エイルの天馬家の三女の小学五年生でお店の配達サービスを担当しているというのが設定。なので外で人に接触するのが彼女の仕事というわけだ。お店の守護妖精「デコ」と一緒に活動するので、ちょっとした追加情報などはこの妖精の口から語られる。
 三部はそれぞれ、アイドル、お化け屋敷、お姫様、という話題を扱っていて、動き回って情報とアイテムを集めて、きちんと謎解きをしたうえでお菓子を作り、正しいお菓子(美味しいではない)を作ればHappyEndという流れになっている。


 さすがに大人が普通に読めばさらりとHappyEndに到達するが、小学生とかだとどうなんだろう。謎解きにつまったときのためのフォローもきちんと入ってはいるけれど、その辺の感想は聞いてみたい気がする。(ここに感想もあるけれど、難易度感覚とかはよく分からない。)


 プレイヤー知識がきちんとあると有利になる(それも、読書好きの子なら知っていそうなネタを使っている)あたりもポイント高いと思う。

追記:この本のバッドエンドが「14」なのは、作者が若いころであった愛読書、アイルランドの作家さん、J・H・ブレナン氏のゲームブックにあやかっています。(p.270)

私も、買ってきて真っ先に14番チェックしましたけどね。(^_^)