k-takahashi's blog

個人雑記用

ダライ・ラマ法王に池上彰さんと「生きる意味」について聞いてみよう

去年6月にダライ・ラマ14世が来日した際の、質疑を50組のQAとして一冊にまとめた本。平易で分かりやすい言葉で法王が色々な質問に答えている。人生とは、幸せとは、ダライ・ラマとして生きるとは、宗教とは、など色々。
幾つか面白いなと思ったものを抜き書き。


Q.7 本当の自分ってどうすれば見つけられるのでしょう?

本当の自分や心について考える前に、少し花のことを考えてみましょう。花には、それぞれの色や形があります。色や形も、その花について、目に見える特徴の一つです。その花の色や形をひとつずつ取り除いていくと、最後には何が残りますか? その花は一体どこにあるのでしょうか? 花はどこにも見つけることができなくなってしまうはずです。花は、その色、その形、その香りなど様々なものが一つになった全体として「花」なのです。
(中略)
貴方の心と体を作っている要素のすべて、目や鼻は口、手足などの体、刻々と変化し続ける心など、に「私」「本当の自分」という名前を与えたことによって、今ここに存在していると言うことができるのです。「本当の自分」は形もなく、つかまえることはできない。そして、刻々と変化し続けているものだと言えるのではないでしょうか。(pp.33-34)


Q.15どうすれば成長できますか?

例えば、一、二ヶ月とか、一〜二年というような短い間に、自分自身で目に見えるようなレベルの変化をもたらすと言うことは非常に難しいのです。一日一日、少しずつの変化を続けることこそが、より大きな変容をもたらす基礎になっていくのです。(p.49)


Q.27 許すとはどういうことですか?

その記憶にまつわる負の感情だけを心から手放すことです。相手を無罪放免にする手段ではなく、自分を自由にする手段、それが「許し」です。(p.79)


Q.33 いろいろな宗教を同時に信仰することをどう思いますか?

共通の部分は積極的に修行し、そして、矛盾するような哲学の部分はちょっとおいておくというふうになさればよいのではないかと思います。(p.94)


Q.37 食事はどんなものを召し上がっていますか?

仏教の伝統の中では、仏教徒である僧侶が托鉢に出て、そこでいただいた食べ物なら何でも食べて良いとされています。
(中略)
個人的なことでは、1965年から私は肉食をやめてベジタリアンになったことがあります。ベジタリアンとして二年間余りを過ごしたことがありますが、胆嚢の調子が悪くなってしまったのです。チベット医学に基づく医師も、西洋医学に基づく医師も、「以前通り肉を食べる食事に戻した方がよい」とおっしゃいました。
それ以来、私は現在も肉を頂いています。(pp.103-104)


本書の末尾には、チベットの歴史や、中共によるチベット侵略についての簡単な解説も付いている。