k-takahashi's blog

個人雑記用

コマンド 98号

コマンドマガジン Vol.98(ゲーム付)『ダガー・スラスツ』

コマンドマガジン Vol.98(ゲーム付)『ダガー・スラスツ』

付録ゲームは「ダガー・スラスツ」。1944年秋に、モンティのマーケット・ガーデン作戦以外の選択肢がとられていたらどうなっていたかという、「将軍達の戦い」でも語られていたトピックを扱った仮想戦ゲーム。タイ・ボンバ氏のデザイナーズノートによれば、チャドウィックの『ラインへの道』に影響されたゲームだそうだ。


架空戦テーマなので、関連記事もその関連になる。
「もしファレーズ・ポケットからの脱出に成功した2万のドイツ兵がいなければ、マーケット・ガーデン作戦は成功していた」(p.13)、という指摘は面白いと思った。

パットンについてのエピソードを大木毅氏が紹介しているのだが、その中にこんなのがあった。

1944年初頭、M4とM26、二つのタイプを検討したパットンは、強力な抵抗に遭えば迂回すれば良い、そのためには機動力や軽快さを重視すべきだとし、生産の重点はM4に置かれなければならないと、軍上層部に意見具申していたのである。奇行戦については、米軍でも随一の経験を持つパットンの見解は、大きな影響を及ぼし、その結果、M26は後回しにされることになった。(p.36)

軍政部門の石頭が原因だと思っていたのだが、パットンが関わっていたらしい。(機械的信頼性という長所がどうなったか、というのもあるかな)。


ゲームプレイとして面白いと思ったのが、ソロプレイの仕方を説明する以下の部分

誰でも一度ぐらいはソロプレイをしたことはあるだろう。攻撃側、防御側のどちらかに身を入れて、作戦研究をするためにソロプレイをすることが多い。その、身を入れた側のすべての戦闘結果を、サイコロを振ることなく、自動的に、最悪の目が出たものと判定してプレイするのだ。(p.31)

いわゆるワーストケースを考えておく、もっと良い手はないかを考えるきっかけとする、ということに相当する。不運に備え、幸運に頼らないプレイをしなさい、そうすれば上手くなるという話。
プレイ自体を楽しんでいるときはともかく、作戦研究の時はこれはありだな、と思った。(「ここは○○が出たことにして」ということなら時々やるが、全部それで、というのはやったことがない。)
もちろん、「ろくでなさい」システムでこんなことをしたらゲームが破綻しますが。(^_^)


ゲームデザインの話題では、BFM社の『A Bridge Too Far:Operation Market Garden』の分析記事が面白い。従来のゲームよりも範囲を広く取り、セルトーヘンボスからユトレヒトへの進路を加えることで、マーケットガーデン作戦時の独軍の混乱を表現することに成功しているという指摘である。(連合軍の目標が、アルンヘムかユトレヒトかの両方がありえるようになるので、従来のマーケットガーデンゲームのようにアルンヘムが目標と決め打ちできなくなる。)