k-takahashi's blog

個人雑記用

コマンド 101号

コマンドマガジン Vol.101(ゲーム付)『第三帝国の興亡』

コマンドマガジン Vol.101(ゲーム付)『第三帝国の興亡』

付録ゲームは高梨氏による「第三帝国の興亡」。少々悪のり的なリプレイ記事が10ページにわたって載っているが、
『キャンペーンゲームの歴史記事というのも本誌読書には今さらだろうし』
『時間のない社会人ゲーマーのため、ゲームの概要を掴めるようなリプレイが求められている』
というのは、まあそうだろうなと思う。

いわばデザイナーズノートとでも言うべく記事が関連ゲーム紹介として書かれていて、「WorldWar1」(ダニガン)、「ドイッチュラント・ウンターゲルト」(高梨)、「第二次世界大戦」(高梨)、「第一次世界大戦」(中黒)の4つをシステム比較として読むと面白い。
できれば、カラーページに地図を並べて比較して欲しかった。


史記事は「周辺への衝動」(大木毅)が面白かった。戦略級ゲームではよく「史実と異なる戦略」が語られるが、ヒトラーの思惑「ソ連の打倒と植民地化によるレーベンスラウムの確保」が最重要であるという説が歴史解釈としては一般的である。(いわゆる「プログラム論」)
大木氏は本記事で、アフリカ征服やスペインの版図組込にある程度の可能性があったことを指摘している。それらがヒトラーの戦略になかったのは事実としても、当時の第三帝国の状況や同戦略を検討していた人たちの存在は無視できないだろうということである。
どちらも、ドイツをかつての「欧州の列強の一つ」の地位に戻すには充分なものになるようだ。


「行く川の流れはてずして」(大久保城治)は、「日露戦争」(エポック)、「TheTideAtSunrise」(MMP)、「日露大戦」(国際通信社)、の比較記事。
坂雲的日露戦争観を再現し、狭義としての作戦的面白さと、ドラマ的再現性重視した「日露戦争」。「日露戦争」をより合理的に修正し競技性を高めた「TheTideAtRising」。
そして、日露戦争の軍事的課題である陸海軍の関係(制海権)を無理なく取り込んだ「日露大戦」。という位置づけ。
読んでいて腑に落ちる論だった。
そして、

日露戦争とは、「戦争」とは呼ばれるものの、お互い相手の息の根を止めようという国家総力戦時代の意味での戦争ではない。一つの大きな戦役であることに、その本質があるように思える。
(中略)
日露戦争を戦争として捉えてしまうと、概してゲームとしてまとまりが悪くなり、戦役として捉えた『日露戦争』、『TTaS』、『日露大戦』は成功を納めたと言えないだろうか。(p.38)


コマンドマガジン51〜100号の記事目録が載っている。前号のもそうだったが、この目録は電子版公開して欲しい。