- 作者: 宮内悠介
- 出版社/メーカー: 東京創元社
- 発売日: 2012/03/22
- メディア: 単行本
- 購入: 8人 クリック: 143回
- この商品を含むブログ (75件) を見る
ここで言う盤はボードゲームのこと。といっても、現代ボードゲームではなく、囲碁、チェッカー、麻雀、チャトランガ、将棋といったあたりのこと。緊迫感や対戦にかける情熱などに加えてSF風味が一捻り入っているところがポイント。山田正紀賞ってあたりで予想できますが、神の話も出てきます。
表題作の『盤上の夜』は四肢を失った囲碁棋士が主人公。失った四肢の代わりに盤を皮膚として感覚を知覚するようになった彼女が囲碁の腕を上げていくのだが、という展開。
若干ネタバレになりますが言語SFでもあります。
『人間の王』と『千年の虚空』とはどちらもコンピュータプレイヤーが登場する。「解かれたゲーム」をプレイする人とは、というあたりがテーマ。
ただ、『千年の虚空』の方は、終盤で「ああ、そっちへ話が行ってしまったか」とちょっと残念だった。完全に好みの問題だとは思うけれど。
短編集とはいえ一つ大きな流れがあり、残念ながら私の好みはその流れ自体からも『千年の虚空』の終盤でずれてしまった。「あ、私の好みからはずれたな」と思うまでは、なんとなく『インサート・コイン(ズ)』*1を連想しながら読んでました。ゲームとプレイヤーの話をしているのだけれど、ちょっとプラスαがある。
文章も構成も上手いとので、お薦めの一冊なのは確かです。SFでゲームな話でもありますので、その辺が好きな方にもお薦め。
*1: