k-takahashi's blog

個人雑記用

太陽系無宿/お祖母ちゃんと宇宙海賊

太陽系無宿/お祖母ちゃんと宇宙海賊 (スペース・オペラ名作選) (創元SF文庫)

太陽系無宿/お祖母ちゃんと宇宙海賊 (スペース・オペラ名作選) (創元SF文庫)

大元帥が1972年に編纂した、海外スペオペアンソロジー2冊を一冊にまとめたもの。解説によれば、アメリカですら、当時スペオペのアンソロジーなどいったものは出ていなかったとのこと。
世界に先駆けた企画だったわけで、そういう意味で歴史的価値は高い。


スペースオペラ」が、安物西部劇「ホースオペラ」を宇宙に持っていっただけ、という蔑称としてスタートしたことは知識としては知っていたが、ならば、そういうベタなスペースオペラを読んだことがあるかというと、ちょっと記憶にない。我々が普段見聞きしている「スペオペ」はスターウォーズのような「宇宙冒険活劇」のことだったり、レンズマンや銀英伝のことだったりするわけだから。(「ニュー・スペース・オペラ」に至っては、ねえ。)


本書には、「もっていっただけ」のスペオペ、あるいはガジェットや設定にちょっとだけ科学風味を加えただけの作品などが掲載されている。


『太陽系無宿』(アンソニイ・ギルモア)は、そういう意味で貴重な「ベタ」なスペースオペラ。『宇宙船上の決闘』(ヘンリー・ハス)はちょっとだけSFネタ(珪素生物)がはいっているけれど、こちらも基本は「ベタ」。


『夜は千の眼を持つ』(ジョン&ドロシー・ド・クーシー)や『お祖母ちゃんと宇宙海賊』(ジェイムズ・マッコネル)なんかは変奏だけれど、元々は西部劇系プロットの変奏だったんだろうと思うとわりと納得できるストーリー。
『隕石製造団の秘密』(ピーター・ハミルトン)はギャング小説かな。(ピーター・F・ハミルトンというニュー・スペース・オペラ作家がいるが別人とのこと。というか、このピーター・ハミルトンという作家は、資料が全然ないそうです。)


ちょっとだけ科学風味、だと『大作〈破滅の惑星〉撮影始末記』(ヘンリー・カットナー)はジュラシック・パークを思わせる。『サルガッソー小惑星』(フレデリック・A・カムマー・ジュニア)は超強力な磁力を持った小惑星に捕まってしまう話で、オチはちょっと感心した。


と、言っても「おおらかに楽しみましょう」という態度で読む本でしょう。さすがに古い作品ばかりでありますし。