東大・角川レクチャーシリーズ 00 『ロードス島戦記』とその時代 黎明期角川メディアミックス証言集 (単行本)
- 出版社/メーカー: 角川文化振興財団
- 発売日: 2018/06/08
- メディア: Kindle版
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「 ロードス島戦記」の立ち上げ、メディアミックス戦略、そして「ハルヒ」との違いといったあたりのインタビュー集。インタビュー(講演)をそのまま書き起こしたものなので、ちょっと読みにくい部分があるし、そもそも検証できていない内容も多い。大事で面白い資料だが、素材ということになるのだろう。
一番面白かったのは、「ハルヒは公式が二次創作」という考え方。展開して原作が足りなくなってきたときに公式が「ハルヒだったら・・」というのを始めたのだそうだ。それが許されるほど二次創作が浸透したということなんだろう。
小説としてのロードスが、一回リプレイというゲーム形式を通っているというのは面白いポイントで、キャラとかの表現法は確かに違うはず。そこがどう変わったのかとか分析したものがあれば見てみたい。(メディアが変われば表現は変わる。そのときに新しいものが持ち込まれたのであれば、それは重要だ)
ロードスのメディアミックス戦略というのが、受け手の想像力を段々広げていくという見方もなるほどと思った。
一方、当時のこととしては、色々不十分な記載も多いかなと感じた。
ドラクエの影響をあまり考えていないところとか、ロードス以前にもリプレイはあった(七つの祭壇とかね)し、ファンタジーっぽさというなら「ローズ・トゥ・ローズ」があった。イラストにしても、トラベラーリプレイにもイラストは(ラノベ風とはほど遠いが)あった。
もちろん、ロードスの価値が高いのは事実だろうが、当時の狭い業界で、関係者がその辺を知らなかったはずはなくて、参考にしたり影響があったりする。