元ゲーメスト編集長の石井ぜんじ氏が発行しているゲーム電子マガジン。基本的にはアーケードな人なのだが、今回はAIネタということで読んでみた。
三宅陽一郎先生との対談では、「日本と海外のAIの使い方の違いは、ゲームの接し方の違いから」というのが面白かった。「ゲームのお約束」みたいなのをすんなり受け入れる日本のゲーマーと、やはりそこに違和感を感じてしまう欧米人という方向性の違いがあって、それがAIの使い方にも影響している。
それはいわゆる「オープン系」のウケの違いにもなっている。
「へえ」と思ったのが、没入型(FPS型)ゲームの元ネタとして、という流れで
『「なろう系」展開の主人公を、世界の中心に置けるような設定』『日本の新しいオープンワールドの可能性としては、ひ弱に見える主人公が活躍できるサバイバルみたいなものがあるかもしれません』(No.1121)
というところ。欧米にはポストホローコーストサバイバルものやゾンビアウトブレイクサバイバルものがあるが、「なろう系」が主人公というのは、方法論が違うし、それはそれで面白そうだ。どうやってゲームにするかはともかく。
もう一つの対談が現役将棋棋士の西尾明氏との対談。もうAIの方が強いのは明らかな状態で、どうやったプロ棋士をやっていくのかといったところが面白い。メタゲーム的なところに重点が移ったり(読んでいて、なんかプロレス的だな、と思った)、「観る将」がAI評価値を観ながら観戦するのにどう向きあうかとか。
メディアミックスについてのエッセイにこんなのがあった。先日のロードス島戦記もののインタビュー本では、ファンを育てる・徐々に色々なものを提供する、といった視点だったけれど、こちらでは、
メディアミックスの最大の利点は、「その価値に気付いていない人に作品を届けられる」ところにある。(No.2264)
となっている。先日堺三保先生が
今はそんなセクト主義から自由になって、小説、アニメ、マンガ、映画、ドラマ、ゲーム等々、いろんなメディアで展開されてるSFやファンタジーやホラーなんかを、軽やかに楽しむ時代だと思うし、そういうファンがどんどん増えていると信じています。
(https://twitter.com/Sakai_Sampo/status/1140187666723422208)
と書いていて、うんうんとは思ったけれど、やはりメディアの壁は現実にはあるんだんあ、と。