「 ゲームチェンジャー」という言葉がよく使われるようになってきていて、私の勤務先の戦略検討資料とやらにも「ゲームチェンジャーとなり」とか書いてあったりする。
そのゲームチェンジャーの軍事面での事例を紹介・解説している一冊。
ゲームチェンジャーと一言で言っても色々あって、スポーツの世界で欧州がよくやる「自分が勝てるようにルールを変える」という話もその一つだが、本書では軍事を念頭に分類している。
それが「新アイテム型」と「運用型」。軍事の分かりやすい例にすれば、戦車が新アイテムで、電撃戦が運用。
こんな切り口で、色々なものをゲームチェンジャーか否か、どんなゲームチェンジャーかを解説し、それを通して「ゲームチェンジャーとは、どういうことか」を解説している。
新たな戦場を作ったというゲームチェンジャーが、外洋航海、航空機、潜水艦、サイバー戦(ネット)。戦略が根本的に変わったのが、弾道核ミサイル、鉄道、空母、洋上補給、巡航ミサイル、偵察衛星。戦術が激変したのが、陸上攻撃機、戦車、船舶用内燃機関、指向性エネルギー兵器、対艦ミサイル、暗視装置、ステルス、デジタル、保存食。といった具合。もちろん、厳密に分類しきれるものでもないし、それぞれアイテム型と運用型の両面がある。
そういった分析をしたうえで、改めてゲームチェンジとは、どうやればいいのか、という話になる。F-35の例はわかりやすい。あとは、中露の「人権無視」をゲームチェンジ目的のためと分析すると、彼らがそれを止めない(止めるはずがない)ことも腑に落ちると思う。
ビジネスの話も出てくるし、その辺も意識して書いたようではあるが、なにしろ事例が事例なので、軍事に関心のある人向けだなとは思う。