k-takahashi's blog

個人雑記用

トランプゲームの源流 第1巻

 

 

17,18世紀頃のゲームのルール集は必ずしも「ゲームを知らない人に正確にルールを伝えることを目的としている」とは限らない、ということ(p.9)

何を言っているのか分からないかもしれないが、トランプでギャンブルが行われており、そのギャンブルのトラブルに対応する事例集というのが「ルール集に書かれていた」という話なのである。

 

第2章は「切り札」の発明。タロットの大アルカナは切り札。王に勝つから「皇帝」とかがある。でこの「切り札」の考え方をトランプに導入した(特殊なカードが不要だった)。王とかのフレーバーが付いているなら、そのフレーバーに反するルールは分かりにくいということのようだ。

 

第3章。「切り札」は画期的な発明だが、宗教改革などがありフレーバー的にもそうした変化を受け入れやすくなっていたと言う面はある。タロットでは「王に勝つ皇帝」というカードを作ったが、トランプの切り札ではルールで「王に勝つ」を決めた。但し、切り札の特定のカードが台札の特定のカードより強いというルールで、現在の切り札とは異なる(むしろ、フレーバーに引っ張られている印象)

その後、6章まではゲームの具体的な復元ルール(様々な文献等を元に復元した推測版)をもとに、切り札の設定と遊び方の変化を扱っている。現在の日本だと「大富豪で遊んだ」と言ったときにどのルールで遊んでいるのかを推測するのは非常に難しいが、似たような難しさと面白さのあるパート。

 

第7章はビッド。切り札を指定する権利とビッドによるトリック達成義務とがセットになったのがオンブレ。これが3人用(つまり、ビッドを宣言した人vs残りの2人)となって大ヒットした。
あと、「紅茶とオンブルはキャサリン王妃に愛されたというだけでなく、女性からの支持を受けて広まったという共通点がある」(p.238)というのも面白い指摘。(権威付け、とも言っている)