もとは、1990年に筒井康隆が岩波文庫から出した本で、短篇を一つずつ紹介していくという形式だったもの。それを30年ぶりに増補版とするにあたり、筒井先生ご本人の短篇を扱う章を追加したもの。
短篇の作者たちに、それぞれの手法でこれらの作品を書かせた内在律とはいったい何だったのか。また短篇小説というジャンルが確立されたのちにおいても、それぞれの時代に、それぞれの手法で書いた作家は、短篇小説にどのような創作態度でのぞんでいたのか。(No.155)
文学に疎い身としては、文学史の知識も鑑賞力も乏しく、書いてあることのほとんどは理解出来ていないと思うのだが、筒井先生の講演を聴いているような気分で読み終えた。それでも十分面白いので、創作論を学ぶというのは置いておいてもよいのではないかな。