k-takahashi's blog

個人雑記用

ニュートン 2023年8月号

 

特集は「宇宙」。宇宙観の最初期の例としてエジプトの死者の書や仏教の世親。古代ギリシャの地動説(アリスタルコス等)。あとは、人間原理マルチバース、プレーンワールド、ホログラフィー原理。ホログラフィー原理の流れから「時空は量子情報から産み出される」という仮説とか。こういう先端物理の話は読んでいて楽しい。

 

もう一つの特集が「灼熱の日本」。気候変動の影響で日本の最高気温が50度に乗る可能性の話題があり、可能性は小さいものの気候変動が大きくなれば振れ幅も大きくなる。
2020年8月の浜松の41.1度の解説もあり、フェーン現象+名古屋のヒートアイランドによる加熱+太平洋から吹く風とぶつかり浜松に熱い空気が停滞、という合わせ技だったそうだ。

 

意識研究の記事では、VRを使った実験が増えている(ラバーハンド現象とか、錯覚、幻肢、体外離脱などをVR使って制御する)のが面白かった。

「統計データの落とし穴」は、データの選び方の問題を中心にした解説記事。一部でキャンセルカルチャーのターゲットにされていたフィッシャーをちゃんと記事にしている(ランダム化比較試験とか、p値5%の話とか)

写真では、巨大植物(ショクダイオオコンニャクとか、オオオニバスとか、バオバブとか、ラフレシアとか)が面白い。砂漠も写真は綺麗だね。

 

ショートニュースで面白かったのが「最も太ったシュレーディンガーの猫」。ミクロの量子論的振る舞いとマクロの生物の生死の結びつけがシュレーディンガーの猫のキモだが、重ね合わせ状態はミクロ側にしか起こらない。ではどこまでミクロは大きくできるのか。質量の大きさを「太った」と表現するそうで、これの最大値が更新されたというニュース。チューリッヒ工科大のビルド博士等による研究で16マイクログラムが実現したのだそうだ。