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インタラクティビティ : 定義・理論・論点

インタラクティビティ : 定義・理論・論点

東京大学学術機関リポジトリ

吉田寛 准教授が公開したインタラクティビティについての論考。ゲーム研究の立場から「インタラクティビティ」について解説している。

個人的にはクロフォードの話で概ね納得しているのであるが、使われ方・使われ無さ方や歴史的経緯を解説してくれている論文はありがたい。

 

ウィーナーのサイバネティクスやリップマンの会話モデルが重要、一時期インタラクティビティという言葉をアカデミアが拒否していた(宣伝的に濫用されていた)、といった話が紹介される。

後半は「ゲーム研究にとって」と観点を絞り、入出力が限定されていること(スポーツとの比較)インタラクティビティはコンピュータの特性であってゲームの特性ではない、などの話を紹介し、最後に完全な制御とランダムの間にあるのがインタラクティビティだとするとインタラクティビティは限定的にはゲームの特徴になるかも、と結ぶ。

 

もっと長い論考の一部らしいのでそちらで再考察が入るのかもしれないが、集団スポーツはインタラクティブではないとか、インタラクティビティはコンピュータの特性だとか言うのはちょっと議論が雑に感じた。

 

結局、クロフォードの理論でいいんじゃないのとは思う。

クロフォードと言えば、私がクロフォードの理論を最初に聞いたのは、1993~4年頃に彼が来日したときの講演会のときで、"cycle of hear/think/say"という言い方だったと記憶している(2003年のクロフォードの本によれば"a cyclic process in which two actors alternately listen, think, and speak”)。上記論文では21世紀になってから言い出したかのようだが(文献として残っているのは実際そうなのだろう)、異国の一般向け講演で話したぐらいだから90年頃にはすでにこっちの考えになっていたんだろうと思う。