k-takahashi's blog

個人雑記用

情報処理学会誌 2012年2月号 〜ゲーム情報学

情報処理学会誌の今月号の特集が「ゲーム情報学」。
ここにリストがあるが、

  • ゲーム情報学:0.編集にあたって(田中 哲朗 )
  • ゲーム情報学:1.ゲーム情報学の現在-ゲームの研究は日本で疎外されなくなったのか(松原 仁)
  • ゲーム情報学:2.ゲーム情報学におけるパズル研究(小谷 善行)
  • ゲーム情報学:3.不完全情報ゲーム(西野 哲朗)
  • ゲーム情報学:4.ギャンブルの情報学(谷岡 一郎)
  • ゲーム情報学:5.将棋(瀧澤 武信)
  • ゲーム情報学:6.コンピュータ囲碁の現状(村松 正和)
  • ゲーム情報学:7.その他の2人ゲーム(岸本 章宏)
  • ゲーム情報学:8.ディジタルゲームにおける"AI"の役割(遠藤雅伸)

の9本の論文が掲載されている。
AI研究のグランドチャレンジが「チェスの世界チャンピオンに勝つ」だったことはよく知られており、そこから様々な技術が生まれた。で、1997年にカスパロフに勝ってからは他のゲームにも関心が広がっている。
不完全情報ゲーム(従来のmin-maxがうまく機能しない)とか、将棋や囲碁Bonanzaメソッドや、モンテカルロ法の簡単な紹介)などの記事もあるし、最後の遠藤氏の論文は演出としてのAIの話になっている。不完全情報ゲームとしてコンピュータ大貧民の大会が毎年開催されているとかの情報も。
各論文ともにほぼタイトルから予想されるとおりの内容が手堅くまとまっているので、関心のある方は斜め読みしてみるとよいと思う。基本的に紹介論文なのでそれほど難しくないし。

ぶっちゃけ

一応、学会誌の論文なのだけれど、結構身も蓋も無い記述があって面白い。

以前は思考ゲームも博打の仲間で「悪いもの」の範疇にあったのだが、世間からそれより悪いと見なされるディジタルゲームが出現したことによって地位が向上した。(p.105)

他人に「勝つ」ことを目指すより、負ける人間を皆で作り出す方が簡単である。(p.124)