k-takahashi's blog

個人雑記用

ケルト神話と中世騎士物語

ケルト神話の「異界」とはなにか、それは他の宗教と比べてどういう特徴があり、いわゆる騎士道物語とどのように関わってくるのか、を解説した本。1995年発行の本なので最新情報というよりはオーソドックスな論の紹介となる。

 

シケリアのディオドロスは前掲書の二八節で、ケルト人が生命を軽んずるのは彼らがピタゴラス的な輪廻転生を信じ、死後の一定期間の後に、再び新たな肉体をとって生き返ると考えているからだと述べている(No.194)

カエサル(シーザー)によるならば、この教えは狡猾なドルイド僧たちが人びとに死を怖れさせないために教え込んだものなのだ。(No.194)

キリスト教との比較となるとこの辺がポイントとなる(もちろん、両著者はキリシタンではないが)

 

ただ、これはケルト神話での一般的な考えではない。ケルト神話では文字通り、こうしたエピソードは人々のことではなく神々のことだとなっているのである。ただ、こうした神々の地は海の向こうないしは地下世界として我々の世界と続いていると考えている。(但し、海の向こうというのはアイルランドに独特のもののようだ。アイルランドでは海の向こうとしているのがケルト的には地下世界のこと)

 

他にも、ケルト神話一神教として解釈すべきであるとか(大地母神が複数の分身を持っているとする。)ケルトキリスト教が成り立ったのはドルイドと修道生活とが親和的であったからとか。

 

アーサー王伝説については、騎士の冒険譚の大半がケルト的世界への冒険であったり、円卓の騎士とは形を変えたケルトの神々であるとか、ランスロットとギネヴィアの恋ががアーサー王の国を滅ぼしたのは女性が大地であり婚姻により大地の支配者が認められるから(ギネヴィアがランスロットに恋することで、王国が否定される)、とか。

 

この辺好きならお薦め。