k-takahashi's blog

個人雑記用

日本の大衆文化におけるヨーロッパ中世主義の受容と展開

「日本の大衆文化におけるヨーロッパ中世主義の受容と展開」を研究する、「中世主義研究会」のチャンネルです。

MedievalismJP - YouTube

と言うビデオが公開されていたので見てみた。全4回でそれぞれ2時間ほど。

 

【第1回】「1970~80年代の日本における中世受容とその知的背景」

https://www.youtube.com/watch?v=Air87HJlUtw

世暗黒史観というのは、1970年代ぐらいに入ってきてそれがサブカル系に受け入れられたもの。

中世はフィクションとして遊ぶ対象にできる。一方ヒトラーはフィクションで使えないという違いがある。ただ、アサクリ問題のような「簒奪」は起こる。

一つ気になった発言があって、「異世界転生ものは、ラノベを貶めている」という意見があるそうだ。また、随分言い切るな。

 

【第2回】「アーサー王伝説とニーベルンゲン伝説」

https://www.youtube.com/watch?v=S2U5YeuwYBo

最近の若者は、FGOからアーサー王伝説を知る。
日本の受容史は、19世紀文学論(テニスン)、ワーグナーのオペラ、ブルフィンチ(米国)の影響、と続き、中世時代英語(マロリー)を訳せるようになったのは1966年からで比較的最近。

ニーベルンゲン伝説の方も最初は間接的な紹介から始まる。マンガで取り上げられるようになるがこれはワーグナー経由。

ニーベルンゲンの扱いは、これもヒトラー絡みだがドイツでもふらふらしているというのが面白かった。

 

【第3回】「日本における北欧神話ヴァイキング文化の受容」

https://www.youtube.com/watch?v=59YmhQuwzS8

北欧語を訳せる人がほとんどいなかったので重訳から始まった。ギリシアと北欧とケルトを混ざることが多かったが、ビッケがバイキングのイメージを変えた(乱暴者から知恵者へ)。
マクロスは地球側が英語系(ヴァルキリー)、ゼントラディー側がゲルマン系と使い分けている。作り手は分かってやっていたのだろうが、見る方は分かっていなかったろう。
ルーン(魔法)については、ゲームをやると物語の中に入った感覚が得られてこれが分析にも役立つ。
いわゆる続編が北欧ものっぽくなるのは、地中海的な世界の続編としてより過酷な北(北欧)を舞台として選ぶからなのかも。

 SFとファンタジーの話はちょっと雑かなと感じた。

 

【第4回】「TRPG軍事史~ゲームの中の騎士・戦士・傭兵・冒険者~」

https://www.youtube.com/watch?v=dxaGNp4ijyw

高梨先生の資料、見ているだけで面白いがまだ公開されてないみたい。

軍用ウォーゲームは自分の廻りのことしかわからない卓上RPGだが、初期のホビーウォーゲームは戦いのすべてが見えるパノラマゲームである。
レベル上げを本格的に取り入れたのはD&Dが最初だろう。そして、レベルアップを取り入れるには、傷が早く治せる世界が合っている。だからファンタジー中世が流行った。

リプレイが行動規範となってというところはちょっと感覚違う印象。例や許容範囲を示していたとは思うが、リプレイとプレイは当時からある程度乖離していたと思う。(特にSWのリプレイ小説)

現代的価値観を中世ファンタジー風世界に持ち込む(そうしないと遊びにくい)ための方便が「騎士道」とか「名誉とか「正邪」とかなので、そこを変に否定すると遊びにくくなる(実際なってた)とも思う。

 

ドンキーコマンドはTRPGとは違う発想のゲーム。マスターはいないことからも分かる。あれはTRPG派生のボードゲームの系譜。

ゲームとしてはそうなると思う。どっちかというと同号にのっていた1ページリプレイの方が、それこそ例示という意味で最初の紹介かな。