高度な技術力により改造された星系が発見される。ところが、そこには知的生命体の痕跡が無い。その謎を追い続ける人物(?)の物語。
『法治の獸』の春暮康一氏のハヤカワSFコンテスト優秀賞受賞作を若干改訂した中編と、短編『虹色の蛇』と『滅亡に至る病』を収録。
メインの謎は改造した知的生命体の正体なのだが、そこに複数の時代、複数の視点の物語がかさなってきて、人工知能(作中では、被造知性(DI))とウォーターカーボンとの関係と断絶とかの話も重なってくる。途中までは、これがどう繋がるのかと思いながら読んでいたが、最後はきちんとまとまってた。たいしたものだ。
色々なスケールの話が重なってくるところが楽しい。
短編の方は、「オーラリメイカー」の話を踏まえた上で、生態系や生態系とつきあう倫理とかの考察になっていく。短編だけに話の進み方はシンプルだが、こちらもSF的な謎解きが面白い。
3編とも、規則にやたら忠実な登場人物ばかりなのだが、こういう性格はハードSFとは相性いいよね。