k-takahashi's blog

個人雑記用

ホモ・ルゾネンシス

インドネシアフローレス島で発見された小型のヒト族フローレス原人(Homo floresiensis)と並んで、今回のホモ・ルゾネンシスの発見は、ヒト属の進化における東南アジアの島嶼個体群の重要性を浮き彫りにしている。これら2種には違いがあるものの、両者の状況は類似していた可能性があり、共に、それ以前のヒト族が離島に隔離されて独自の進化の道筋をたどった残存個体群であると考えられる。

https://www.natureasia.com/ja-jp/nature/highlights/98288

 先日読んだ本『我々はなぜ我々だけなのか』には、フローレス原人(ホビット)の話題が出ていたが、フィリピンでも似たような原人が見つかったというニュース。

数万年前と推定されているそうで、アジア地域の原人の多様性がまた増えたということでもあるし、離島での進化は思ったよりよくあることなのかもしれないという話でもある。

歯の分析を緻密に行うことで仮説を絞り込んでいくのは上記の本にも出ていたが、そういう細かい解説記事がよみたいところ。

 

夕食:キーマカレー、積ん読:7冊

新紙幣が発表。

財務省は9日、千円、5千円、1万円の紙幣(日本銀行券)を2024年度上半期に一新すると発表した。04年以来、20年ぶりとなる。新紙幣の表の図柄は1万円札が渋沢栄一、5千円札が津田梅子、千円札が北里柴三郎になる

https://www.nikkei.com/article/DGXMZO43508410Z00C19A4MM0000/

ふむふむという感じなのだが、渋沢栄一と言えば、帝都物語

渋沢栄一(しぶさわ えいいち)帝都東京を物理的、霊的に守護された都市にしようと秘密会議を開く。

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E5%B8%9D%E9%83%BD%E7%89%A9%E8%AA%9E

 うまく頑張れば3人が揃うシナリオも作れそうだ。

 

夕食:豆腐ハンバーグ、積ん読:7冊

【なぜイケてる子たちがD&Dをプレイするのか】
大手のニューヨーク・タイムズがこの様な記事を掲載するほどD&Dが流行し始めている(している!?)米国。「SNSから距離を置き、実際に顔を突き合わせて遊べる友達の大切さをD&Dを通して気づいた」という部分が心に刺さりました。

https://twitter.com/Masteroftherog1/status/1115077499325575168

 ゲームを楽しむ人が増えること自体はいいことなのだが、ビデオゲーム叩きの文脈でボードゲームを持ち上げているのと同じような気持ち悪さがあるんだよな、元記事。

「面白い」から、という当たり前の話ができないのがどうにも。(楽しんでいる人達はいいんだ、同志だ。気持ち悪いのは記者)

 

「砂漠の狐」ロンメル

 

「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨 (角川新書)

「砂漠の狐」ロンメル ヒトラーの将軍の栄光と悲惨 (角川新書)

 

 サブタイトルの「ヒトラーの将軍の栄光と悲惨」が大雑把な要約だが、序章がロンメルの死のシーン。ヒトラー暗殺への関与を疑われ毒を仰いだ有名なエピソード。ヒトラーに認められることで昇進し様々なチャンスが与えられて栄光を掴んだ一方で、猜疑心の犠牲になったという悲惨さ。

さらに第一章が「ロンメル評価の変化」。プロパガンダの題材になったり、その裏返しで攻撃の対象になったりしてきた。最近では更に悪化し「ロンメルの評価は、軍事的・歴史的なそれを越えて、政治的な色彩を帯びつつあるのだ」(No.238)という状況らしい。

 

内容は、実は読んでいる最中には、「知っていることの綺麗な整理だな」と思っていた。もちろん、これは私が大木先生の小文を色々読んでいるから大きなエピソードを知っていただけで、一般にきちんとまとめたものは事実上なかった。それをきちんとまとめたということには価値があって、今さらカレルやアーヴィングでもないだろ、ちゃんと最新情報を得ようよということになる。
幸い、本書は好評のようなので、ロンメル研究の最新情報は伝わりやすくなるだろう。

 

ロンメルの功名心が彼の出自や経歴に大きく依存するもので「生きていくために必要だったから」という説明は腑に落ちたし、工学系への指向(機械いじりがすきだったエピソード)も面白い。例の私生児のエピソードも、ドイツの主流たるプロイセン系とは違った価値観の持ち主だったと繋がるのにはなるほど、と。

 

私個人は、カレルの『砂漠のキツネ』とクレフェルトの『補給戦』をほぼ同時期に読んだので、「カレルはああ書いているが、よほどのことがない限り北アフリカロンメルが勝ちきるのは無理だったろうな」ぐらいの認識だったが、カレルとアーヴィングがメチャクチャにしたあげくに、政治のおもちゃにされてしまったロンメルは気の毒だと思う。

 

いまだにナチスの関係者を政争の具にし続けているドイツはともかく、日本にとっては良くも悪くも歴史上の人物なんだから、研究成果を楽しみ、創作ネタとして楽しむのを両立していけばいいのだと思う。
ただ、大木先生としては、きちんとした歴史学の研究の紹介をしたいという強い意志があったようだ。それはもちろん立派で正しい態度だと思う。その点からも売れて欲しいし、読まれて欲しい一冊。