k-takahashi's blog

個人雑記用

空母ミッドウェイ アメリカ海軍下士官の航海記

空母ミッドウェイ―アメリカ海軍下士官の航海記

空母ミッドウェイ―アメリカ海軍下士官の航海記

著者は1956年生まれ。13歳まで東京で、19歳まで沖縄にいたと日系の方。彼がミッドウェイに勤務していたときのエピソード紹介や感想などを中心に記述した一冊。下士官の目から見たもので、テクニカルな描写は少ないが、それゆえに面白い。(艦長の紹介のところに「寝ない」とさらりと書かれている。これなんかも下士官の目からはそう見えるということなのだろう。)


空母の中が凄くうるさい(着艦時の音に驚くシーンが63ページにある)とか、勤務がいかに大変か(あちこちに書かれている)とか、現場(ヘリ整備)に近い描写が多い。
もちろん、お約束の食事のことも多数書かれている。意外と美味しいとか、料理の種類(基本的に2種類。早いのと遅いの。誰がどこで食べるとか、偉い人がどういうタイミングや理由でやってくるか、とか)、食堂の中を爆弾が運ばれていったり、食料をこっそり現場に持ち込んで合間に食べたり(勿論、禁止されている)。
訓練のシーンも多い、というか当然のことながら実戦よりも訓練の方が多いわけで、何は楽だ、これは大変だ、などの説明から始まり、役割やら失敗談やら盛りだくさん。湾岸戦争の時にはガスマスクの訓練も増えたそうで、そのエピソードもある。(暗い部屋で不意打ち的にガスマスクの装着を命じられたこともあったそうだ。)一方で実戦での緊張感も描かれている。


湾岸戦争時の実戦エピソードはやはり重みがある。式典が作業着で行われたりとか、ノンスキッドの張り替えとか、メンテナンスデッキの隅で眠るパイロットとか。


200ページに1991年3月2日に撮影された空母4隻並走の写真がある。ミッドウェイ、レインジャー、セオドア・ルーズベルトアメリカの4隻で、確かにミッドウェイは一回り小さい。
が、著者も述べているように、乗員と基地整備員(当然日本人だ!)の努力により、最後まで優秀な艦として一生を終えることができた。


ミッドウェイは現在サン・ディエゴで博物館となっている。昨年行ったばかりなので本書中の写真もほとんど見覚えがあった。
シャワールームのジェット燃料パイプとか、管制室の横須賀の海図とか、オーディオガイドに日本語版があることとか、も書いてくれればよかったのに。 (あと、コントロールルームも入れます。キャットウォークを歩いて入ったりする。)


ジェット燃料パイプの写真を載せておきます。後ろの方にちらりと見えている紫色のパイプがジェット燃料パイプ。