k-takahashi's blog

個人雑記用

Winny事件判決

 金子氏の言う「純粋な技術的見地から行ったもので、著作権侵害を増長させる意図はなかった」というのは相当に眉唾な言い分だと思うけれど、刑事罰になるのかなあ、と思っていた。


 で一審の判決は、

社会に生じる弊害を十分知りながら、自己の欲するままウィニーを公開、提供しており、独善的で無責任との非難は免れない。

もっとも被告はウィニーの公開、提供を行う際に、ネット上における著作物のやりとりに関して、著作権侵害の状態をことさら生じさせることを企図していたわけではない。著作権制度が維持されるためにはネット上における新たなビジネスモデルを構築する必要性、可能性があることを技術者の立場として視野に入れながら、自己のプログラマーとしての新しい技術の開発という目的も持ちつつ、ウィニーの開発、公開を行っていたという側面もある。

 被告は、本件によって何らかの経済的利益を得ようとしていたものではなく、実際、ウィニーによって直接経済的利益を得たとも認められないこと、何らの前科もないことなど、被告に有利な事情もある。

 以上、被告にとって有利、不利な事情を総合的に考慮して、罰金刑に処するのが相当だ。

というもので、妥当と言えば妥当なような気もする。


 もっとも、刑事罰にはやはり違和感ある。判決が何となく妥当っぽく感じられるのは、罰金刑が刑事の結果ではなく、民事の判決に見えるからなのだろう。


 個人的には、病院のカルテとか税務署の納税情報とか戸籍情報とかが全部ウィニーで流出してしまえば、小うるさいプライバシー問題が吹っ飛んで楽しい世界になるかな、とか無責任なことを考えていたりするんですが。


 あと一つは、生殖医療とかで「医者の暴走だ」とか非難する人や団体の中に、今回のウィニーは正当な技術開発だと擁護する向きがあるのが気になる。両方認めるか、両方拒否するか、個々の事例から切り離された基準を設けるかするかのどれかでしょう。そういうところまで考えてない発言が時々見受けられるのは、ちょっといや。