- 作者: 飯田泰之
- 出版社/メーカー: 筑摩書房
- 発売日: 2006/11/01
- メディア: 新書
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そもそも執筆の動機が、
2003年から05年にかけて、私は平成大停滞、特に金融政策について数編の論文・著書を執筆し、それに対して多くの人からの貴重なコメントを賜りました。そして、これらのコメント、中でも私の見解に批判的なコメントに返答し、時に論争するうちに、「意味のある批判」と「意味のない批判」の質的な差があるということに気づいたのです。(おわりに、より)
というもの。
中身は、いわゆるクリティカルシンキングなどを学んだことのある人にとっては、聞き覚えのある話(「詭弁のガイドライン」なども有名)だが、実体験から出ている真剣さと扱っている題材(経済系)が本書をユニークなものにしていると言える。
著者は5つのチェックポイントをあげている。
- 定義の誤解・失敗はないか
- 無内容または反証不可能な言説
- 難解な理論の不安定な結論
- 単純なデータ観察で否定されないか
- 比喩と例話に支えられた主張
少々言い方が分かりにくいところもあるが、本書の後半はこれを具体的に説明するものだし、ある程度は厳密に言う必要もあるのでこれはこれでよし。
ちなみに、これに反する無意味な反論はこんなものになるらしい。
発言者の経歴を批判し、その主張が真の問題解決とは言えないと非難し、そのデータ分析は現実を反映しているとは言えないとこき下ろすことで行われます。その上で、100%正しい議論はなく、だからこそ(自分が言うところの)自然で通常の対策こそがベストなのだとすれば……これは「無意味な反論」としては百点満点と言ってよいでしょう。(p.110)
確かに、こんなの相手にするのは人生の無駄遣いですな。もっとも、こういうのを振り回す輩が実際には多いわけだが。
なお、著者の飯田氏もブログ持ち。http://d.hatena.ne.jp/Yasuyuki-Iida/20061218 なんかに補足もあります。