k-takahashi's blog

個人雑記用

バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる

バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる

バランスシートで考えれば、世界のしくみが分かる

いわゆる「埋蔵金」の議論などで知られる暗黒卿こと高橋洋一氏の著作。ただ本書では、

資産と負債の差額を「資産負債差額」といいます。私が特別会計に存在するお金について指摘したのは、この「資産負債差額」であり、「埋蔵金」などという言葉ではありません。
(中略)
それを聞いていたある若手議員が、自民党の部会でこの話をすると、その席にいた与謝野馨さんから「おまえ、そんな霞ヶ関埋蔵金みたいなでたらめなことをいうな」と怒られたのです。それを聞いた記者が、「これは面白い」と記事にしたのが「埋蔵金」という言葉のはじまりです。(p.58)

と書いており、与謝野馨の言葉らしい。


本書で言う「バランスシートで考える」というのは、お金の話をするときは複数の方向から捉えてみると良いとうような話。借金の話をするときには資産も考える、支出の話をするときは収入も考える、金額の話をするときには比率のことも考える、円高かどうか考えるときにはドル安かどうかも考えるといった見方のこと。そして、どこかとどこかは対応しているはず(バランスシートでは、資産と負債・資本とが同じ数字になる。そうならなければどこかに間違いがある)。それは確かにその通り。そして、そういう見方をおさえておくと、変な議論がたくさん見つかるぞ、という事例を紹介している。


結構乱暴な議論をしているところも多いような気がする(例えば、年金が破綻しない理由を、納付額と支給額は同じになるのだから、としている。そこを無理矢理支出しようとしかねないのが懸念されている問題だと思う。)が、個々の議論はそれぞれ詰めればよいのだろう。


他に、官僚操縦法的なところが面白い。

官僚が「ない」というのは、おもに「使えない」という意味ですが、実際には「使わせない」のです。(p.61)

ある法律が現状にそぐわないなら、それは変えればいい。この手の議論は、官僚と話をするといつも出てきます。(p.63)

「実質ゼロ金利」という表現は、政策決定会合の公表文書に記されていますが、役所文書にこうした表現があるときはよくよく注意すべきです。というのは、本文よりも注釈や別添に重要なことが書かれているケースが多いからです。(p.110)

鳩山さんは、最初、意外によいことをいいました。それは、事務次官全員の辞表をもらうと言うことです。外務省と防衛省事務次官だけから辞表をもらうと角が立つので、「政権交代したんだからみな辞表を出してくれ」というのはいいアイデアでした。
(中略)
役人を御するのは人事と金です。ちょっとえげつない話ですが、天下り先を取り上げて、人事を行えば、いうことを聞くに決まっています。(pp.187-189)