k-takahashi's blog

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モテるコンサルティング

モテるコンサルティング戦略

モテるコンサルティング戦略

本書は、経営と女性心理における「戦略」について解説する本であり、経営政略を女心になぞらえて解説しているため、以下のような特徴がある。

  1. たぶん『日本一やさしい経営の教科書』
  2. 複雑な女心を「経営」の理論にまで昇華させることができる。
  3. 「デキる男」「モテる男」として、一躍脚光を浴びるようになる。

(p.6 本書の使い方 より)

 大笑いしながら読めた一冊。女性攻略術をだしにして経理理論の解説をしているとも、経営理論をだしにして女性攻略術を説明しているとも言えるのだが、背景となっている経営理論のところが、しっかりしているので余計におかしい。


 経理理論としては、衛生理論、動機付け理論、4Pと4C、プロダクトポートフォリオブルーオーシャン戦略、ポジショニング(リーダー、チャレンジャー、フォロワー、ニッチ)、キャズム(プトダクトライフサイクル)、AIDAMA、Push/Pull、CRM、経営理念、が扱われている。どれも基本的な内容で、説明も概ね妥当。


 例えば衛生要因のところでは、外見やしゃべり方、マナーなどが恋愛における「衛生要因」適用範囲であるとしている。経営理論としての衛生理論(要因)を知っている人なら判るように、これらは最低限クリアーすべきハードルであるが、一方で、よほど突き詰めた強みにするのでもない限り、必要以上に頑張っても影響が少ないものである。恋愛においては、本気で取り組めばかなり容易にクリアー可能であり、クリアーしてしまえば、多少の差は問題にならない、ということになる。だから、例えば「10万円握って専門店に行き、一通りコーディネイトしてもって、あとはそれを使い回せ」で充分ということになる。「それじゃ付け焼き刃では?」と心配する必要はない、ということを衛生理論から裏付ける。
 こんな感じで、恋愛を、「自分」という商品を女性という「マーケット」に売り込みビジネスを成功させる、と解釈して説明をしてくれる。


 細かい記述に引っかからないわけではない(例えば、アキバ系を徹底的にダメ呼ばわりしているが、衛生理論レベルをクリアーしていれば、後はマーケティング戦略次第のはず)。ま、こういうところは自分で補うということで。


 一点、巻末付録の用語事典の「サンクコスト」の記述が気になった。

サンクコスト:事業を辞めようとしたときに発生する費用

となっていたが、普通は回収不能な投資のような「今後の意志決定に影響を与えない(与えてはならない)」費用のことを言うはずなのだが、こういう言い方するのかな、最近は?