k-takahashi's blog

個人雑記用

鬼哭き穴に潜む罠

鬼哭き穴に潜む罠 (ダンジョンズ&ドラゴンズ冒険シナリオシリーズ)

鬼哭き穴に潜む罠 (ダンジョンズ&ドラゴンズ冒険シナリオシリーズ)

ということで、D&Dの入門用シナリオである。本シナリオについて、かの桂令夫氏は、季刊RPG2号にて、

  • 単純明快なストーリー
  • マスター用の懇切な手引き
  • 一つの部屋での遭遇がちょうど1ページないし一見開き
  • 各遭遇の経験点、モンスターデータなどマスタリングに必要な情報はのきなみ収録されている
  • PHBだけあれば大丈夫

と明言している。これらがマスター向けに発せられた言葉であることに注目して欲しい。特に最後の2つが重要で、「何をどの程度やればよいのか、明記されているからそれをやりなさい」ということになる。


 もちろん、それが実現されていなければ単なる誇大広告なのだが、それは非常に高いレベルで実現されている。「はじめに」によれば、そのために新しい書式を採用したのだそうだ。それが、桂氏の言う3番目と4番目に相当する。この書式があらゆるRPGに使えるわけではないが、少なくともD&Dでは非常に有効だと思う。
 「D&Dのシナリオは遭遇の積み重ねである」「遭遇には3通りある。戦闘的遭遇、挑戦的遭遇、ロールプレイ的遭遇である」とした上で、一つの遭遇を2ページ以下に収まる分量に刈り込んである。このシナリオで入門すれば、シナリオを読んだり考えたりするときに、この様式に従って頭の中で整理する習慣がつくだろう。「これは挑戦的遭遇だから、チェック内容は○○で、ありうる結果は△△になるな」とか、「これはロールプレイ的遭遇だが、うまくいかないと戦闘になるな。戦闘になった場合は別の遭遇として処理しよう。ロールプレイ的遭遇だから、必要なのは○○で……」とか。これもまた非常に有益だと思う。


 RPGの入門について語る気があるのであれば必読の一冊。勿論、普通に入門用としても使えると言うか、入門者には必須と言っても過言ではない。


 唯一問題なのは、このシナリオで入門した人が次に何を遊ぶべきかというところ。PCが5レベルまで上がれば「赤い手は滅びのしるし」で良いのだろうが(あれはあれで非常にチャレンジングだ。しかも手の届く範囲で。)、その間にあたる3〜4レベルの適当なシナリオは何なんだろう?